2011-02-21  レトリーバル No.10

ローカル1に戻った私は、イヤフォンを外し、しばし呆然とする。
表からは、近所の子供が家族を呼ぶ大声が響き、車が道路を走る振動で玄関のドアからカタカタと小さな音がしている。
天気は曇り空で、窓の外から白く優しい明かりが差し込んできている。
なんてことはない、ごく普通の土曜日の午後の風景だ。

さっきまでの出来事は、なんだったんだろう。
本当にあった事なのだろうか…。

胸の中で、ユアンさんに抱きしめられた安堵感と、つらい現実を直視した衝撃が蘇る。

心から信頼できるパートナーができた事を嬉しく思いつつも、自分の父親に腹が立ってしょうがなかった。

頭がフラついている。

そういえば、ユアンさんが、ビタミンを摂れとか、アイソトニック飲料を勧めていたっけ…。
かなり、脳にストレスがかかって、大量のビタミンCが消費されてしまったようだ。
ゆっくりと起き上がり、マルチビタミンのサプリを飲む。
台所を探すとポカリが出てきたので、お湯で割って飲む。
甘い飲み物が苦手だからだ。

ゆっくりとまた、ベットに横になる。
この後、予定が入っていなくてよかった…。

なんだったんだろう。自分は。
なんだか、すごい事をしたような気もするが、自分の虐待の事実を突きつけられると、霞んでしまう。
長年抱えていた、男性に対する苦手意識の原因が分かったのはいいが、父親を憎む気持ちに拍車がかかる。

今更、何をどういったって、どうしようもないしな…。
虚無感が襲う。

最初にユアンさんに頼み込んだ時、自分には過去生にレイプの経験があるんだと思っていた。
それを遠巻きに客観的にレトリーバルできればいいな、と軽く考えていた。
でも、現世だった。つらい。

いや、でも薄々は気づいていた。
20代半ばで出来た恋人といい雰囲気になった時。
彼に抱き寄せられたら、体が震えて、涙がこぼれてしまった。
うっかりすると、歯の根がカチカチと合わない。
結局、男女の仲にはなれず、ぐだぐだで別れてしまったんだった。
プロポーズまでされたのに…。

疲れた…。

無理に頼み込んで行かなければ良かった。
ユアンさんの手を離さなければ良かった。

ユアンさんがどんなに優しい男性でも、所詮、あちらの住人で。
これから、私はローカル1で恋人を探さなければならないし。

もう、ヘミシンク、辞めようかな…。


せっかく、レトリーバル出来たのだから、もう少しだけ続けるか。

私は、ヘミシンクに対する、興味が薄れてきていたのだった。


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ヘミシンクとゆるゆる日記