ヘミシンクとゆるゆる日記 レトリーバル現世編
2011-02-21 レトリーバル No.7
((私Bに向かって)私A:精霊達はまだいるね?)
(私B:ええ。)
(私A:よし!)
パンッ!
私「コンセントレーション!」
再び少女の体の上に右の手の平をかざします。
私「古の盟約に従い、私、しんじゅ☆♪が命ずる」
男(古の盟約に従い、私、ペトロが命ずる)
私「光の癒し手達よ、我に力を」
男(光の癒し手達よ、我に力を)
私「目の前の傷ついた幼子を救い給え」
男(目の前の傷ついた幼子を救い給え)
私「癒しの緑の光!」
男(癒しの緑の光!)
私「アーメン!」
男「アーメン!」
ッドン!!
今度は私達の回り直径2m程の緑色の光の柱が立ちます。
すると、少女の体から、ゴボゴボと音を立てて、
黄土色の地に黒色が混ざった物体が浮かび上がります。
歪な穴が無数に空いていて、まるで軽石のようです。
それは、少女の胴体とほぼ匹敵する大きさです。
しかし、胸の周囲が空洞になっています。
(これは…、心臓と肺の部分はほとんど取り出せていない。
それと、胸の下の左の背中側の臓器も空洞になっている。
あれは、脾臓か…。
くそ、これ以上は無理か…。
しかし全て取り去ってしまっては「恐怖」自体を感じず、この体験が無かった事になってしまう。
それでは今の私の人格まで辿り着けない可能性がある。
因果律を乱してはならない。
これがベストだと信じよう!)
私「エネルギー変換ボックス掃除機バージョン!」
すると焦げ茶色の木目のアンティーク風のオルゴール箱が忽然と現れます。
そして空中でひとりでに金色の留め具を外されてパカンとその蓋を開きます。
するとコウッという音をさせながら、黄土色の物体を吸い込みます。
全てを吸い込んだ途端にオルゴール箱はまたひとりでにパタンと蓋を閉じ、忽然と姿を消します。
すでに緑の光は消えています。
私A((私Bに向かって)精霊達に感謝とお礼を伝えて。)
私Bはベッドで横たわっていた状態から、上体を起こし、両手を組み恭しく頭を垂れます。
私B(精霊達よ、ご協力、感謝いたします。
主よ、感謝いたします。)
すると、『魂の部屋』にいた8人の精霊達の姿が掻き消えます。
私A(お礼は言えたわね。さぁ戻って!)
私B(了解!)
フッと、私Bが私Aに同調します。
再び、暗いオレンジ色の光源のみの闇に沈んだ室内に戻ります。
ユ「すごい!レトリーバルができたようだね。」
私「あぁ、あなたにも協力を感謝する。」
私は少女の顔色を伺う。
私「あぁ、表情も和らいで、呼吸も正常に戻ったようだ。
これでもう過呼吸の発作も起こさずに済む。
そうか、これが原因で私は過呼吸の発作を起こすようになっていたんだな。
ん?」
「うぅん。」
すると、少女が静かに瞳を開きます。
私達の視線が交錯します。
すると、私の額にぺチンと、輪ゴムを当てられたかのような小さな衝撃が走ります。
(これは、何だ!予定調和なのか!!
この記憶は!!
私は、私に会った事がある!!
彼女が瞳を開いた事により、今出来た記憶なのか!
いや、違う、やはり幼い時に私は大人の自分に会っている!)
私の狼狽をよそに、少女は再び瞳を閉じて眠りにつきます。
すると、階下で、カタンと小さな物音が聞こえます。
私とユアンさんはハッと障子戸の方を見ます。
ユ「どうする?」
私「いや、大丈夫だ。
父親が台所で介抱する仕度をしている音だ。
私の記憶が確かなら、この後、彼女に危害を加えられる事はない。
さっきの白い光でこの家全体が包まれて、家人全員が浄化されている。
それであの男は憑き物が落ちた状態となり、今慈愛を取り戻し、後悔をしている。」
ユ「君はどうしたい?」
私「帰ろう。
あの男は絶望的に愚かだが、かろうじて保護者としての情がある。
それが救いになるかどうかは別問題だが。
私達は元いた場所に帰る。」
ユアンさんは私を眩しそうに見つめながらゆっくりと頷きます。
階段から、キシキシと床を踏みしめる音が聞こえます。
ユアンさんが微笑みながら私に向かって両手を広げます。
私は彼の胸に正面から静かに寄り添い、私も彼を両手で抱きしめます。
(あぁ、もう抱き締められてもユアンさんが怖くない…。)
ユ「帰ろう。」
私(ただいま、相棒…。)
私は彼の左肩の鎖骨にコトンと額を預けながら、無言で微笑みます。
安堵感と達成感と幸福感に包まれます。
私はつらい過去を直視しなければなりませんでしたが、心から信頼できるパートナーを手に入れた事を誇らしく思いながら、ローカル1へと帰還しました。