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少女時代10

友人K「アタシの守護霊が、あんたの守護霊から頼まれて、伝えて欲しい事がある、と言っている。

 <もっと、自分を大切に生きて欲しい。自分を責めないで。>
だと。

 後、アタシの守護霊から、あんたへのアドバイスがあるから、
一応聞いて。

 <お前の人生には過酷な試練が待っている。
  お前はその清らかさ故に必ずそれにつまづくだろう。
  だが、心を正しく、強く持て。
  お前が愛する男が現れた時、お前の苦しみは解放されるだろう。>
…だってさ。」

それは卒業を来月に迎えた高校3年のある日の事だった。
私達女子はパソコンルームの窓際で日向ぼっこをしながら、おしゃべりを楽しんでいた。

私「は?清く、正しく、美しく?」

友人K「いや、<心を正しく、強く持て>だって。」

私「何?過酷な試練って。怖いやん。」

友人K「<それは教えられない>ってさ。

私「えぇー、じゃあさぁ。その愛する男っての教えてよ」

友人K「あぁ、<黒くて短い髪に黒い瞳のいい男>だって。」

友人R「それって、何も特定できてないんじゃない?」

友人K「あぁ、<外国人風の人間っぽい奴だ。>とか言っている。」

私「え?何ソレ。外国人風?人間っぽい?
  それは日本人なの?しかも人間じゃなく聞こえるんだけど。」

友人K「<安心しろ。お前好みの水も滴るいい男だ。>だって。」

友人U「ハンサムならいいじゃん。」

友人R「外国人みたいな顔立ちの人間的な性格の人って事じゃない?素敵よね。」

友人K「<ただし、頭も力もお前のほうが上だ>と言っている。」

友人U「おバカか。残念だな。いい男ならしょうがないかもね。」

友人R「あぁ、でもしんじゅ☆♪ちゃんが養ってあげればいいんじゃない?
    生活力ありそうだし全然OKでしょ。」

友人K「<だが性格がとてもいい。
     しかもお前にベタぼれだ>だとよ。やったな!しんじゅ☆♪」

私「いや、ちょっと、微妙でしょ。それ。
  私よりおバカで、夫婦になって、世間を渡っていけるのか?
  とりえが顔と性格なんて、ホストぐらいしか向いてないんじゃない。
  しかもおバカで私にベタぼれならホストとしても成功できなくない?
  それって、完全にヒモ候補じゃん。」

友人Y「君が働いて、彼に専業主夫になってもらうだなぁ。」

友人K「あ、続きがある。
    <まずその男に去られて、お前は泣き暮らすだろう。>だって。」

私「いきなり、ヒモに捨てられてんじゃん!
  性格のいい、私にベタぼれの男に逃げられるなんて、どんだけダメな女なの。」

友人U「お気の毒様。」

友人R「しんじゅ☆♪ちゃん、可哀相…。」

私「お前らまだ起きてもいない事で私の事を哀れむなぁ!」

友人Y「で、続きは?」

友人K「<次に出会う男とお前は愛し合う。
    最初の男よりさらに美形だ。>」

友人U「やったな!逆転ホームランだ!」

友人R「で、どんな人なの?」

友人K「<私がお願いしたい位の美人だ。>
    だとよ、このオッサン何言いやがる!」

私「オッサンがお願いしたい位?アンドロギュノスか?」

友人K「<いや、男だ>」

友人Y「アンドロ…、って何?」

私「アンドロギュノス。両性具有って意味だよ。
  3学期の最初の保健体育の授業で、教科書とは関係ない話だけどって、先生が前置きして黒板に書いてくれてたじゃないか。
  原始人間は背中合わせに男女がつながっていた。
  それがバラバラになってから、男女が求め合うようになったって話だよ。
  そっから、性教育と避妊の重要性について勉強しただろ。」

友人U「お前、頭いいなぁ。
    そんな難しい言葉スラスラ出てくるなんて。
    ホントは賢いんじゃね?」

友人Y「うーん、覚えてないなぁ、あったっけ。そんな話。」

友人R「しんじゅ☆♪ちゃん、すごーい。良く覚えているねぇ。」

私「あぁ、テスト勉強もこれが人生最後だと思ったら、一度トップを狙ってみたくてね。
  情報処理では0点も取った事だし。
  逆に記念に100点をってね。
  それで、誰も注目してなさそうな、保健体育に全精力を傾けて勉強したんだ。
  で、他の教科はガッタガタで先生達にこっぴどく怒られたけど。
  しかも、そんでトップになれなかったんだよぉ。残念!」

友人U「やっぱ、お前バカだわ。」

友人Y「バカ過ぎる。」

友人R「しんじゅ☆♪ちゃん、変。」

私「いいじゃねぇか!内定は貰ってんだし。
  高校3年の3学期のテストなんて度胸試しみたいなもんだって!」

友人K「<…続けていいか?>」

私「あぁ、悪ぃ、悪ぃ、オッサン。どうぞどうぞ。」

友人K「お前、ちょっと失礼だぞ。まぁいいけど。」

友人R「で、どんな男の人なの?」

友人K「<その男は金髪碧眼の絶世の美形だ。
    あぁ、瞳の色は緑だがな。>」

友人Y「おぉ、外国の方ですかぁ。しんじゅ☆♪氏、やりますなぁ。」

友人U「最初のはスルーして正解じゃん。ぜひ写真撮って送れよ。」

友人R「あたしも写真欲しーい!」

私「えぇ!ガイジン!!私英語全然ダメだよ。どこでどう知り合うの?」

友人K「<地上ではない。
    相手は背中に白い羽根を持つ天使だ。>」

私「は?ちょっと待て。
  それはキリスト教の教会で働く牧師か神父って例えなのか?」

友人K「<言葉どおりだ。>だとよ。
    お前スゲー美形だな。こりゃ。
    面食いのお前にピッタリじゃねぇか。
    皆に見せられないのが残念だな。」

私「からかってんのか?それとも私は死んじゃうって事か?」

友人K「<死にはしない。生きたまま出会う。>」

私「生きたまま、天使と出会う?どうやってだ。意味が分からん。」

友人K「<相手は神の使いだからだ。
    お前に会うために下に降りてくる。>」

私「いや、降りて来たって、人間の私が気づくとも思えないが。
  だいたいどうして私の所に神の使いが来るんだ。」

友人K「<お前が天使だからだ。>」

友人U「ヒューヒュー!スイートエンジェル!!」

友人Y「しんじゅ☆♪氏が天使ねぇ。」

友人R「しんじゅ☆♪ちゃん、森永のお菓子は好きだけどね。」

私「あぁ、ムーンライトが好物だ。ってなぜに私が天使なの?」

友人K「<お前が覚えていないだけだ。
     お前はその男と愛し合い抱かれるが、
     お前は処女のまま神に仕える事になる。>」   

私「あ・の・ねぇ。
  私は神も仏も信じとらんっちゅうの!
  大体愛し合って、なんで処女なの?意味が分からん。」

友人R「まぁまぁ。それでいつ頃出会うの、その人と。」

友人K「<すぐではない。
    これから15年以上先の話だ。>
    だとよ、しんじゅ☆♪お前大変だなぁ。」 

友人U「晩婚確定か。初体験も随分遅くなるね。」

友人Y「早くても33歳って事かぁ。ちと遅めだね。」

友人R「でもでも、いいんじゃない?それまでしっかり働けば。
    30代なんてきっとあっという間だよ。」

私「いや、私は人間ともっと早くに結婚したいんだが。」

友人K「<もちろん、その可能性もある。
     20代半ばで、平凡だが、性格に少し難のある、
     安定した収入の男と出会う。>

友人U「安定した収入。上出来ジャン。美形は諦めろ。」

友人R[公務員とかかしら。いいわね。」

友人Y「しんじゅ☆♪氏、いいんじゃなーい?」

私「何、その性格に難があるっていうのは。」

友人K「<本人に自覚が無くとも、お前の神経を逆なでする発言をする所だ。
      お前さえ我慢すれば、結婚生活を手に入れる事ができる。>」

友人R「あぁ、いるよね、そういう人。」

友人Y「まぁ、安定した収入あるし、大目にみればぁ?」

友人U「晩婚は嫌でしょ。悪い事は言わない。
    20代で手を打っておきな!」

私「そんな性格は注意しても直しようが無いじゃん。やだよ。」

友人K「<私としては、優しいお前にはこの男で幸せになってもらいたいと思うのだが。
     お前は平凡を好まない。
     きっとこの男を選ばないだろう。

     そして、頼れる人物も無い状態で一人で過酷な試練を受ける事になる。

     お前は自分が海に沈むと分かっていても、
     足元でもがく人間の手を振り払う事が出来ない優しい女だ。
     必ず茨の道を選び、苦痛に苛まれる事になる。

     生き延びる為には心を清浄に保ち、強く、正しく持て。

     過酷な試練の後には、お前は光を掲げる者になる。
     その光を求める何百、何千、何万の人間がお前の後に続く事になる。

     お前の幼少期に関われた事を私は誇りに思う。
     卒業後は体を大事にしろ。>」

私「は?何、その壮大なサーガ。
  風の大陸のトバ・ティーエか?
  私は何の取り柄も無い、ごく普通の女子高生だって。
  もうすぐ社会人だけど。
  たいして霊感があるわけでもないし。
  んー、じゃあ、平凡な男を選べは、試練はパスできる訳ね。」

友人K「<そうだ。
    穏やかで平均的な女性の幸せを手に入れる事ができる。>
    だってさ。」

私「んー、でも私が我慢しなきゃ結婚生活は続かないんだよね。
  言っても理解してもらえない訳だし、しんどそうだな。」

友人Y「平凡が一番じゃなーい?」

友人R「何だか、試練とか、その方がつらいと思うよ。」

友人U「コイツが大成するか、見てみたい気もするが。」

私「我慢してまで、結婚したくないなぁ。
  お母さん、それで若死にしたし。
  収入とか、立場で結婚相手を決めたくないから、
  自分で稼ぎ続ける事ができる今の職業を選んだんだし。
  打算で結婚をしたくないんだよ。
  そういうのって、何だか魂の泥棒みたいじゃない?
  私は自分の魂ごと理解してくれる相手としか結婚したくないな。」

友人Y「しんじゅ☆♪氏ロマンティックぅ。」

友人R「そうね、打算は嫌よね。
    お互い理解しあって結婚したいよね。」

友人U「お前、そんなんだから晩婚になるって言われてんだよ。
    男なんて、カスばっかだぞ。
    その中から、一番マシなのを選ぶのが結婚ってもんだ。
    それには相手を選べる若いうちじゃなきゃダメなんだから。」

友人K「まぁ、まぁ、しんじゅ☆♪の言う事にも一理あるよ。
    それなら、天使と結婚すればいいじゃん。」

友人R「あ、じゃあさ!
    最初の性格のいい美形の人となんとか結婚すればいいんじゃない?」

私「それもいいねぇ。
  それにしても、このオッサン、
  人の不吉な未来をサクサク断言する割には
  この人物描写が妙にファジーなのが気になる。
  ほんとに日本人なのか?」

友人K「<詳しくは言えない。
     会った時分かってしまっては楽しみがなくなるだろう。
     しばらくはのんびりしたOLライフを満喫しろ>
     だとよ。
    くくっ、お前、処女のまま神に仕えるなんて、
    修道女みたいじゃないか!」

私「私は宗旨替えはしないって。 
  天使と結婚なんて、ありえないでしょ!
  どうせありえないなら、ダリューンのがいい。
  ナルサスとか、アルスラーンもいいけど。
  やっぱり、断然ダリューンかな。」

友人R「え、何?だりゅーんって。」

友人K「こいつの好きな小説の登場人物だよ。
    主役じゃないところがコイツらしい。」

私「アルスラーン戦記の黒衣の騎士:ダリューンだよ!
  かっこいいんだから。
  強くて、優しくて、頭もよくて、友達思いで素敵なんだから
  私はやっぱり頼れる男性がいいなぁ。」

友人U「お前、ほんとオタクだよな。
    社会人になったら、ほどほどにしとけよ。」

友人Y「しんじゅ☆♪氏、結婚無理そう…。」

友人R「やっぱり!私もそう思う…。」

友人K「ま、超絶美形に会ったら、よろしくな。
    がんばれよ、しんじゅ☆♪」



…こんな話をしたのは平成4年2月の半ばでした。



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