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少女時代34

私「金閣寺が分からないの?それとも足利義光?」

友人O「う〜〜ん、どっちもかな?
 なんか、将軍の名前って覚えにくいし。

 きんかくじって漢字普段使わないでしょ?急に書けって言われても困るよ。」

中学三年生になっていた私は、同級生の家で一緒に勉強をしていた。

私「教科書の文章をただ読んで、覚えようとするのは難しいよ。
  連想ゲームみたいにしたら、覚えれると思うよ?」

友人O「連想ゲーム?それが思いつかないんだけど?」

私はおもむろに懐かしのアニソンを歌いだす。

私「好き好き好き好き、好きっ好き!♪」

友人O「あ、一休さんだ^^何、突然?」

私「正解!でも続き聞いて。

 好き好き好き好き、好きっ好きっ!♪あ・い・し・て〜る…お金をっ!!金だ、黄金が一番じゃぁ〜〜!!」

友人O「うわっ!ビックリしたっ!!何言い出すの、突然!」

私「一休さん、思い出したでしょ?」

友人O「うん。」

私「一休さんをとんち小僧とか言ってる将軍様って足利義光。」

友人O「へぇ、そうだったんだ。」

私「将軍様が出てくるシーンに、池に映った金ぴかのお屋敷出てくるじゃん。
 あれが、金閣寺ね。」

友人O「あ、なるへそ。」

私「成金よね〜。黄金のお城作っちゃうなんて。
  さて、足利幕府の初代将軍の名前は?」

友人O「バカにすんな。足利尊氏ぐらい分かるわ。」

私「正解。将軍の名前って、だいたい似ているから覚えにくいと思うけど。
 尊氏の孫が義光。
 将軍とか、成金とかって大体初代だけが偉いんだよね。

 たいていジュニアが遺産を食いつぶす。
 いいねぇ、親のすねかじり。アタシもかじりたいよ。」

友人O「なるほど。ありうるね。」

私「だから大抵3代でおしまい。
  それ以上続くのは、たいてい3代目で盛り返しているから。

  一休さんにしてやられた、とか言ってる義光さんだけど、政治ではやり手だったんだよ。だから部下に新衛門さんとかいるし。」

友人O「ほぉ。」

私「でも、成金だから、金が好き。金閣寺作っちゃう。
  漢字は寺の門に部下に各自金を持ってこさせた、とかで覚えちゃったら?
  さて、問題。銀閣寺を作ったのは?」

友人O「足利…。なんだっけ?」

私「8代将軍、足利義政。」

友人O「あぁ、よしまささんね、だから、名前ややこしいわぁ。」

私「足利義光と足利義政。金と銀ね。
  義政も義光の孫なんだけど。
  銀閣寺っつうても、単に木造家屋で、銀箔張れんかった。
  お金がもうなくてね、政治もうまくいかなくて、彼が最後の足利将軍な訳。」

友人O「遺産を食い潰したか。」

私「だから、お金が大好きな義光さんが金閣寺。
  お金の無い義政さんが、銀閣寺と覚えればいいよ。」

友人O「よしみつとよしまさの区別がつかん。」

私「両方とも、足利義まで、一緒だよね?
  最初に歌ったでしょ?金が好きだって。
  成金の金満が金閣寺で、そうじゃない方が政治がうまくいかんかった方で、政治の政の字をとって、マサさんと覚えておけばいいよ。」

友人O「でも、八代将軍とか覚えられん。」

私「心配しなくても、足利義政が何代将軍か、なんて問題は出ないよ。
  8代将軍は誰?とか、銀閣寺を作ったのは誰?とかになる。
  足利幕府で覚えておけばいいのは、初代尊氏と、義光と義政だけだって。」

友人O「そんな考え方した事無かった!」

私「歴代将軍の名前とか、歴代天皇の名前を全て覚えるなんて、3食おやつ塾つきの、お坊ちゃまかお嬢ちゃまに任せときな。

  そういう勉強の方が正しいんだろうけど、私達は学者になるでもなし。
  庶民は庶民らしく、高校受験突破だけを考えときゃ、いいんだよ。」

友人O「ウチのばあちゃん、全部の天皇の名前言えるけどな。」

私「その時代の教育だよ。昭和天皇の敗戦宣言を聞いてぶったまげた口だ。
  今じゃ天皇の名前をそらで言えるより、相撲取りの名前を覚えていた方がよっぽど社交に役に立つよ。」

友人O「ばあちゃんが聞いたらへこむだろうな。」

私「で、成金3代説でいうと、徳川幕府の場合は?」

友人O「初代が徳川家康。3代目は、えっと、徳川家光…かな?」

私「正解。ほら、2代目なんて、覚えてないだろ?
  大河ドラマの『春日局』がお世話している将軍様だよ。

  大奥っつうて、女はべらせて、ハーレム作っている光源氏だよ。
  参勤交代で各地の大名をへこたれさせたやり手の将軍様だ。」

友人O「分かった!徳川家康にちなんで、孫は光源氏の光で覚えるって寸法ね!」

私「んだ。後は『あばれんぼう将軍』の徳川吉宗。
 後は犬将軍の徳川吉綱で覚えときゃいいって。」

友人O「ぐ。生類憐みの令の人だよね。あの漢字がまた…。」

私「なまるい心、米たいれみと覚えるんだね。
  ひらがなの『み』を忘れちゃだめだぞ。

  それと、最後の将軍、徳川慶喜。
  徳川幕府が終わって、世をしのぶ。
  世をしのぶ割には縁起のいい名前だけどね。慶弔の慶に喜ぶ。
  コイツは、大政奉還とセットで覚えときゃ、徳川幕府は制覇したも同然だよ。」

友人O「おぉっ!なんか大きく出たね。
   こっちは、全部覚えなくていいって聞いて気が楽になったよ。^^」

私「好き好き好き好き好きっ好きっ♪って、これを思い出したら。
  もう、足利義光も金閣寺も、バッチリでしょ?」

友人O「うん、これなら、するする覚えられる。

アニメやテレビも馬鹿になんないな。

学校の授業もこんなんだったらいいのに。

お前の話、先生の授業より、面白いぞ?」

私「ただ文章を読んで覚えるのはつまらないからね。

  教科書にマーカーを引いても、それで覚えた気になって。
  逆に気が抜けてきちんと覚えられなきゃ、意味が無いし。
  
  マーカーを引くって事は、そこを強く印象づける為にしているんだから。
  結局、何かに関連付けて覚えるのが一番手っ取り早いんだよ。

  目の見えない人は、耳で聞いた他の人の説明と、点字や白い杖の感触で世の中を生きているんだ。

  それは、強くイメージして聞いたことを忘れないようにしているから。

  赤いマーカーや緑の下敷きに頼っているといつまでたっても覚えられない。

  単語帳が無くても、勉強はできる。

  って、ただ単に買うお金が無いんだけどね。

  創意と工夫で、精進せいよ!」

友人O「『ミスター味っ子』の味皇か!

 アタシも線を引いて、忘れるくちだぁ^^;
 
 例えば、いいくに作ろう、鎌倉幕府とか?

ププ。でも一休さんの曲を思い出したら、アンタの金が好きってのが、インパクトデカすぎるっ^^」

私「金・銀・パール、プレゼント♪
  って、ブルーダイヤ(洗剤)のCMソングだけど。
  ダイヤモンドの産出国は?」

友人O「は?えっと、アフリカとか?」

私「おしい!南アフリカ共和国だよ。でもテストだと×だね。」

友人O「そういうのも、覚えるの苦手…。」

私「南!達チャン!」

友人O「何?突然『タッチ』ごっこ?」

私「南、あ、ふりかけとっても、共和国と覚えるんだよ。」

友人O「いや、普通に南アフリカ共和国でいいんじゃない?^^;
    アフリカの後ろに共和国をつけるようにすればいいんだし。」

私「いや、ポイントは、南、と、ア、にある。
  アフリカの前に南をつけるのは当然だとしても。
  ダイヤモンドって言ってみて。」

友人O「ダイアモンド。」

私「ダイヤじゃなくて、ダイアと言ってるよ?」

友人O「どっちでもいいんじゃない?」

私「地動説を唱えたのが、ガリレオ・ガリレイと書いても×を喰らうのと一緒だ。正解はガリレオ。

  ダイヤでもダイアでも世の中では通るけど、テストだとダイヤモンドじゃないと×になる。
  だから、南の後にア、が来たなら、もうア、は使わないで、ダイヤモンドと書くようにする。

  南アフリカ共和国で産出される鉱物は?という問題で、ダイヤモンドときちんと答えれるように、自分で引っ掛けを作っておくんだ。

 勉強のできる子でも、こういう所ではニアミスをしがちなんだ。
 うちら庶民は、こういう所でカバーして点数を稼ぐんだよ。」

友人O「…なんか、お前、そんじょそこらの家庭教師よりすごくね?
 アタシも家庭教師なんて、付いてもらった事無いけどさ。」

私「学年で50位以内に入らないと、高校に行かせてもらえないんだ。
  がめつく点数を稼がないとな。」

友人O「学年で50位って、うちら226人だっけ?
 アンタ、今、何位なの?」

私「61位。最近、伸び悩んでいるんだ。さすがにここからはキツイ。」

友人O「それは、普通にすごいんじゃね?アタシの親なら子踊りして喜ぶのに、ダメなの?」

私「ダメらしいね。」

友人O「それにしても、スゴイね。アタシとそう変わらずの成績だったんだから、100人抜きじゃね?
 ウチのクラスでも、成績上位者でギスギスしてるけど、アンタも本当ならそっちの組なのに。
 完全にノーマークだよね。」

私「あぁ。成績のいいモノ同士で牽制し合っているね。
  そんな暇があるなら、自分の弱点を克服した方がいいのに、親や教師の期待がかかっているから、そんな風に考えられないんだろうね。

まったく、食うに困らなくて、羨ましいよ。」

友人O「そうかぁ。100位以内でも、ダメなのかぁ…。
 もっと親に頼んでみたら?」

私「無駄だね。金が無い。
 今日だって、ちょうど親の機嫌が良かったから、アンタん家に来れたんだ。おかげで勉強がはかどるけど、普段なら、店番でろくに勉強もできない。」

友人O「え、いつ勉強やるの?」

私「店番の合間にレジの側で勉強してる。夕方には夕飯の支度をして、それから店じまいと掃除、洗濯。8時半位にやっと一息つけるけど、9時には電気を消されるから、あとは窓際で道路の光で勉強してる。」

友人O「30分?一日30分しか勉強できないの!?」

私「うん。時々店番をさぼって図書館で勉強してるけど。」

友人O「あんたの話を聞いていると、子供の為に高い塾代を払っている親がかわいそうに思えてくるよ…。

 しっかし、そんなで、それだけの成績取れるんなら、アンタ頭いいよ。
 きちんと勉強時間とれたら、50位以内も夢じゃないじゃん。」

私「親に勉強している所見つかったら、殴られるし…。
 お金が無いから、私を高校に行かせたくないんだ。」

友人O「むちゃくちゃなオヤジだな。

あんな、ニコニコしていい男なのに、おっとろしい。
失礼だけど、お前の母ちゃん、男を見る目無かったな。」

私「うん。お母さん、男は顔じゃない、嫁さんに優しいのが一番だと言っていた。」

友人O「金言だな。」

私「うん、名言だ。お父さん、顔がイイだけの資産家の三男坊だからな。」

友人O「ジュニアか。完全に親のすねかじりだな。」

私「そこそこ商売に成功したのが、裏目になってる感じだ。

 金銭感覚が金持ちのままで、今はビンボーなのに、車を処分したりしないし。

 弱いモノいじめをして、発散しているんだよ。
 そんなことしても、金にならないのにな。

 お母さんが生きていたら、アタシたちが学校に行っている間に殴られたくっているよ。
  
 お母さんはいい時に死んで、よかったよ。」

友人O「ご冥福をお祈りいたします。
  悪口言って、悪かったな。」

私「いいよ。」

友人O「じゃ、アタシ達は将来、お嫁さんに優しい男性と結婚するのを目標にして。

 とりあえず、誰か他の大人に頼れないもんなの?」

私「担任には『民事不介入だ。』と言われた。」

友人O「何、ソレ?」

私「家庭内のゴタゴタは警察は介入しないって話。
 たとえば、暴力とか盗難があっても、家族の間の話だと、犯罪にならないんだって。
 つまり、担任には見捨てられたわけ。」

友人O「はぁ!?何、ソレ。

 アタシ頭良くないけど、その対応おかしくね?
 先生も警察もダメって、どうしろっていうの?」

私「今、こういう話をしているのも、ほんとはアンタが子供だから話しているだけ。

 大人に話すと大事になって、結局店の売り上げが落ちて、食っていけなくなる。

 それに、結局余計に殴られるだけだろうしね。

 だから、親切からでも、他の人に相談しないでおいてね。
 営業妨害になるから。」

友人O「そんな…。そうだ、アンタんちのおばあちゃん、金持ちジャン。
 高校に行かせてくれって頼んでみたら?」

私「おばあちゃんとは、そんなに親しくないんだよ。
 お父さんが本家に、あまり連れて行ってくれなかったから、あまり親しい人いないし、お父さんも、あの性格では本家でも、好かれていないしね。
  
  …でも、いいね、その手、もらった!」

友人O「何?なんか、企んでいる顔してるけど!?」

私「…ふふ。そうだ。
  
  いい方法だ…。

  そういえば、実を言うと不安だったんだよ。
  成績を上げても、高校に行かせてもらえないんじゃないかとね。

  くくく。
  アタシが金持ちの子供なら、かじれるすねなら、骨までしゃぶってやるけど、な…。

  ともかく、これで、保険ができた。
  おかげで勉強、頑張れそうだよ!」

友人O「アンタ、上品な顔して、時々下品な事、平気で言うね。
    ま、そこが面白いんだけど^^;

 アタシ、最初、アンタの事、澄ましたお嬢様だと思って、声かけづらかったけど、漫画好きで話すと面白いし。

 皆、これ知らないの、もったいない気がするなぁ。」

私「え?そうなの?ただ単に人見知りなだけだよ?」

友人O「なんか、アンタが元気な顔になって、アタシも安心したよ。

 民事不介入とか、難しい言葉をスラスラ言えるなんて、アンタたいしたもんだよ。
勉強、がんばんな。意外と学者様とか先生とかいけるかもよ?

で、ついでに私にも教えて。^^」

私「おう、警察がナンボのもんじゃ!

 司法、立法、行政の三権分立、モンテスギュー。
 
 …なんか、モンテスギューってお腹が空いたみたいな名前だよね。」

友人O「お、確かに。おにぎりせんべいあるけど、食べる?
こないだ、ウチの母さんが嫁入りで拾ってきたのがたくさんある。」

私「わぁ〜い!食べる食べる〜!」



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