友人S「しんじゅ☆♪、メガネ汚れてるよ。外して拭いたら?」
私は教室で休憩時間に読んでいた小説から視線を外し、声をかけて来た友人の方へ顔を向ける。
私に声をかけてきたのは、少女時代Hに登場している援助交際を私に勧めてきた美少女Sだ。
彼女は相変わらずとてもかわいらしい女の子で、私にニコニコしながらそう、声をかけて来た。
私「え?ついさっきメガネ拭きで拭いたばかりなんだけど・・・。おかしいな。」
私はライトノベル「風の大陸」(著:竹河聖)の新刊を机に置き、彼女に返事をする。
友人S「さっき、気づかなかった油汚れがあるよ。ほら、メガネの端が虹色に光っているから。」
私「そ、そう?変だな?でもありがと。」
そういって、黒縁メガネを外す。
私が使用しているメガネは、フレームは細いのだが、極度の近視と乱視の為、レンズが分厚い。
どうしてもフレームがややごつめになるし、予算的にも色気の無いデザインに限られてしまい、教育ママっぽい印象のメガネをかけている。
私「??変だな。特に汚れていないように見えるんだけど…。」
メガネを手に取り、しげしげと眺めていると、友人Sが顔を寄せてくる。
私「な、何?」
友人S「皆には内緒の話。ちょっとそのまま聞いて!
私ね、『ウリ』辞めたよ。」
私「ホントか!!」
私は驚きつつも、喜び、そして私達は小声で話し始める。
友人Sはこっくりと頷く。
私「よかった!!
でも、組織にはどう話をつけたんだ?まさか警察に相談したとか?」
(それだと、彼女が社会的に傷物になってしまう。)と思わず心配してしまう。
警察沙汰になれば、退学ものだ。
同じ高校生としてつきあえなくなってしまう。
そうすれば、結果的に彼女の人生が狂ってしまうのが予想される。
援助交際といえば聞こえがいいが、要するに売春だ。
本来なら警察に委ねて白日の元に晒すべきなのだろうが、彼女の負うリスクを考えるとそれが賢明な判断だとは私には思えなかった。
友人S「ううん。まさか警察には言えないデショ。
彼がね、貯金をはたいて、アイツらに150万円払って話をつけてくれたの。
後ろにヤクザと悪い弁護士が着いているってブラフでね。
アイツらも嘘だとは分かっているけど、これで手打ちにって事でね。
最悪、これで何かあったら、こっちが訴えて、恐喝にしてやれるし。」
私「やるじゃん、アンタの彼氏!
あぁ、女子高生と付き合いたがる20代半ばの男なんて、同世代の女に相手にされない、しょぼいロリコンだと思っていたけど、なかなかいい男じゃないか!!」
友人S「…あんた、さりげなく人の彼氏の事、ボロクソ言ってくれてるけど…。
まぁ、いいわ。
でも彼氏、お金用意するのに方々に借金しちゃって。
これからお金貯めて、卒業したら、私達結婚するの。
だから、私も普通のバイト始めたよ。」
私「そうか!ちょっと金の無い男だけど!
いいよ、そんな事情でスッカラカンになる男なら見込みがある。
いい男捕まえたな!アンタ男見る目あるよ!
結婚の約束までしてくれるなら、本物だ。
あぁ、よかったなぁ…。」
友人S「うふふ。しんじゅ☆♪のおかげだよ。」
私「いや、私は何もしてないよ。お金も無いし、組織に嘘もつけないし。
警察にも相談できない、何もできない、非力な子供だよ。
あんたの事を思ったら、大人にも相談できなかった…。
力になれなくて、ごめんな。」
友人S「そんな事ないって。しんじゅ☆♪すごいよ。」
そういって、彼女は私の頬にキスをしてきた。
わたしはびっくりしてメガネを机の上に落とし、頬に手をあてて、立ち上がる。
教室のイスが「ガタン」と大きな音を立てる。
すると、教室の後方から、私達のやりとりを見ていた同級生達から、”ヒュー、ヒュー!!”と野次が飛ぶ。
友人四人が手拍子と共に「ズーレ、ズーレ」とはやし立てる。
私はワナワナと震えながら後ろを振り返る。
友人K「あぁあぁ、なんか匂うと思ったら!!ユリの匂いがプンプンしますな。」
友人U「はー、あいつら教室で何やってんだよ。欲求不満かぁ?」
友人M「TPOってもんを考えろよ。まったく。」
友人Y「ねぇ、なんなんでしょう、あの二人?
最近アヤシイと思ったら。とうとうですな。クス。」
私「お、お前ら!!何を言ってるんだ!
そーゆーのと違うから!!
これは、アレだ。ホラ。友情の証ってやつだよ!!」
友人K「どこの世の中に友情でキスする女子高生がいるっていうんだ。
外国ならいざ知らず、ここは日本だぞ。」
友人U「素直にレズならレズと言え。別に偏見は無いぞ。」
友人M「あーゆーのを往生際が悪いって言うんだな。
しっかり、現場を押さえられておいて何を言ってんだか・・・。
フーやれやれ。」
友人Y「Sちゃん、ずっとアタックしてたもんね。
あんな事言ってるしんじゅ☆♪氏もわざわざメガネ外しちゃって、計画的だよね。」
友人S「あらぁ、私は友情より、愛情と思っているけど?」
私「お前は火に油を注ぐような事を言うなぁ!!
これは、ほら、あれだ、事情があるんだよ。特別な。」
友人K「ほほぅ、ではその特別な事情とやらをご説明願おうか。」
私「ぐっ…。それは事情があって言えん。」
友人U「事情なんてないんデショ。情事があるってだけじゃん。」
友人M「はぁ、ほんと下手な言い逃れだな、お前。
こんだけ証人がいるのにさ。」
友人Y「うーん、アホですな・・・。
それにしても、このツーショット。
なかなか見応えがありますな。
しんじゅ☆♪氏、メガネ外すとかーいーな。」
友人S「ダメよー、しんじゅ☆♪の処女は私が貰うんだから。
さぁ、ハニー、情事に行きましょうか?」
私「何がハニーだ!!
お前が変な事するから、濡れ衣を着せられているんだろうが!!
責任を取れ!」
友人S「分かったわ、それじゃ、ロサンゼルスで挙式しましょう!!
あそこでは同性の結婚もOKらしいから。
ハネムーンをそこにしまショ。」
私「なぜに、お前と蜜月を過ごさなきゃならんのだ!!
大体お前、彼氏と結婚するとか言ってなかったか!
重婚だぞ。」
友人S「愛に制限はないわ。
それに愛人が男でなければ彼も許してくれると思うの。」
私「なぜに私が愛人?いい加減にしろってば!」
友人K「…あぁ、確かに見応えあるな。
ゴージャス系美少女と素朴系美少女か。」
友人Y「例えるなら、バラとかすみ草って感じ?」
友人U「うーん、ダリアとコスモスとか。」
友人M「椿とぺんぺん草だろ。」
私「そこぉ!からかうのもいい加減にしろ!!
友情があるから、事情が言えないの!!
勝手にカップルにしない!!
それに、なんだ、ぺんぺん草って。
それは花じゃなくて、もはや雑草だろ。」
友人M「あぁ、言い過ぎた、悪い。
お前ら、葬式用の白菊とドクダミだわ。」
友人K「なんですって!!」
私「なんだと!」
二人して友人Mに突っかかろうとするが、メガネを外している私はイスに足を引っ掛けてつまづいてしまう。
友人K「おお、動揺が激しいようだな。しんじゅ☆♪」
友人U「ますます怪しい。レズ疑惑確定だな。」
私が教室の床に手をついている隙に友人Mが私のメガネを机の上から素早くひったくる。
友人M「ははは。悪い、訂正するよ。
ドクダミと便所虫のペアだよ。」
友人Mが私のメガネを片手で高く持ち上げ、天女の羽衣よろしくヒラヒラと振り回す。
友人Y「んー、素直にくっついちゃったらぁ?」
私「・・・お前ら、私が嫌がってるの分かってからかってんだろ。
そういうやつにはキスするぞ!!」
きゃー、きゃー、と悲鳴とも歓声ともつかぬ声をあげて女の子達が逃げ回る。
私はメガネが無いので、うまく彼女達を捕まえる事が出来ずしょちゅう、つまずく。
すると、友人Sが私に抱きついて、キスをしようとするものだから、彼女達は笑いながら手拍子を打ちつつ「ズーレ、ズーレ」とはやし立てるのだった。
他の生徒達はあっけにとられてただ見守るだけ。
休憩時間が終わり、教師が入ってくるまでそれは続いた。
さて、この友人Sが20歳の時に結婚したというのは以前記事にした通り。
この時の彼氏と無事結婚を果たしています。
ついでに言えば、霊感の強い友人Kは東京で働いていて未だ独身のはず。
(ここ数年会って無いので・・・。)
その能力の高さからか、気になる同僚男性にまで彼女へのプロポーズのセリフの相談をされて、キレていましたね。アタシは新宿の母か!!自分で考えろって怒ってましたね。
年末に帰省した時の飲み会でのお話ですが。
そうそう、少女時代Hを記事にした日にぶっ壊れたテレビ、昨日直りました。
さっさと修理に出せばいいものを、ほったらかしにしてましたから。
まぁ、そのおかげでこのブログに集中できた、というものです。