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少女時代35

それはとある商業高校の初夏の出来事でした。

私は教室の窓際の席について、ちょっと眉をしかめながら考え事をしていました。

授業は終り、清掃も終了して、あとは部室へと赴くだけの、ゆったりとした時間が流れていました。

すると、いつもつるんでいるクラスメイトが寄ってきて、声をかけてきました。
友人Mはオカッパ髪にグリンと大きな瞳で、とても利発で少々尊大な口のきき方をする女の子。

友人Yは、いつも一緒に行動していた、菩薩顔の優しくて穏やかな女の子。(実は学年トップ)

友人Kは、同じ小・中学校の霊感が強くて面倒見の良い姉御肌タイプの女の子です。


友人M「どうした、しんじゅ☆♪、珍しく難しい顔をして。」

私「ん〜、進路の事考えてた。」

友人Y「おぉ〜、悩むとこだよねぇ。しんじゅ☆♪氏は就職か進学か決めかねていたもんね。」

友人K「そっか、しんじゅ☆♪進学すんの?」

私「いや、進学はやっぱあきらめた。
この1年バイトしてお金貯めて進学の費用にしようと思ったけど30万しか貯まらなかった。
やっぱり部活もやって、バイトもやってでは全然ダメだ。

普通科の参考書も買って、勉強してみたけど、全然分からないし。
学力もお金も足りないんじゃ、大学受験は無理だからな…。

どうしても勉強したければ、就職してから進学するってのもアリかな…。
相談に乗ってくれて、ありがとね、K。」

友人K「そっか…。まぁ、自分で決めたことなら、間違いないよ。」

友人M「なるほど、就職組か。」

友人Y「そっか…。残念だけど、しんじゅ☆♪氏の成績なら、先生もいい会社を紹介してくれるよ。」

私「うん、それなんだけど…。
 私、職業適性テストの結果が、オールオッケーだったのね。
それで、就職先を絞り込もうと思ったけど、重度の肉体労働以外は全てに適性あるってでちゃってさ。」

友人K「へぇ〜、スゴイな。」

友人Y「すべてに適性があるんだ。」

友人M「なるほど、器用貧乏なタイプなんだな。」

私「貧乏は余計だ。
 実は看護婦とかいいなと思っていたんだけど、これは意外と重労働の部類で適性は△なんだよね。
まぁ、そもそも看護学校に進学しなくちゃならないから、これもお金がかかるから、無理だし。」

友人Y「え、看護婦さん?なんでまた?」

私「手に職ついてるだろ。結婚して、子供産んだ後でも再就職に有利だし。」

友人M「意外と堅実だな。」

友人K「しかし、国家資格だろ、看護婦になるのって。」

私「そう。准看護の資格なら、日中働いて、夜間の看護学校に通うって手もあるんだけど。
やっぱり、体を酷使しそうだから、やめとく。」

そこにロングスカートの友人Fが通りかかった。

友人F「ナニナニ〜?白衣の天使〜?それって男に絶対モテるよね^^

 就職なら、永久就職って手もあるじゃん。
 アタシは今、そのチケットを手に入れつつあるよん♪」

友人M「出たな、お気楽発言。」

友人Y「Fちゃん、しあわせそうね〜?」

友人K「あぁ、まぁ女の子はその手もあるよね。」

私「ふぅ〜、まぁ、とにかく、避妊はしとけよ。

 その前に、単位落とすなよ。
 男と遊ぶのは構わんが、高校だけは卒業しとけ。」

友人F「何言ってんの!?ゴムにちょっと針で穴をあけておけば、既成事実成立よ〜♪」

友人Y「Fちゃん…。」

友人M「…。」

私「なるほど。

 相手に、『子供ができた。なにかとお金が必要だから、50万円くれ』と言ってみろ。」

友人M「え?いきなり中絶?」

友人K「男逃げ出すだろ、普通。」

友人F「ひどい!私達の仲を裂こうっていうの!?」

私「50万円は恋愛結婚の試金石だ。

 中絶にしろ、出産にしろ、お金がかかるんだ。
 そこでひるまずお金を用意する男なら将来性がある。」

友人Y「いや、でも、普通逃げちゃうんじゃないかな…。大金だし。」

私「男だろう?夜間の道路工事掛け持ちなら、とっぱらいで一日で1万2万稼げる。
 本気出せば、高校生だって50万円ぐらいすぐだ。

 ウチラが子供だから、50万円が大金に感じるだけだ。
 長い人生でみれば50万なんて、はした金だ。

 女を孕ませたら、1年身動きがとれなくなるんだ。
 生活費なんかを考えれば、妻子を養うのに、100万欲しい位だ。

 それができないなら、慰謝料込みの中絶費用で50万円。
 若いうちなら立ち直るのが早い。

 いきなり全額は無理でも、少しでも持ってくるのが誠意だろ。

 男からしたら、安い授業料だ。」

友人F「ふぅ〜ん、なるほど、一理あるな…。
 フェイクだしね。
妊娠したって、嘘をつけば相手の本性が分かるって事ね?」

私「そーゆーこと。」

友人K「いや、でもギャンブルじゃね?
ってか、たいていの男は逃げるぞ、多分。」

私「だから、避妊しとけって言ってんの。
 ガキがガキを作るとろくな事になんねーぞ。

 片親で育つのがどんだけ大変か分かってないから、考えが甘いんだよ。」

友人M「お前、母親いないしな…。」

私「そゆこと。」

友人F「まず、ガキを作るのはやめとくけど(笑)
 男の事はもっともっと勉強しとかなきゃね。」

私「Fちゃん、また赤点とったら承知しねーぞ。
 今度追試になっても、もう勉強教えてやんないからな。」

友人F「えぇ〜?勉強の後のしんじゅ☆♪の話、スゴイ面白いのに〜(笑)」

私「今度赤点無かったら、骨を傷めないですむ男の殴られ方を教えてやるよ。」

友人M「は?今、なんつった!?」

友人F「しんじゅ☆♪に追試の予想してもらってんの。
 そんとき、コイツの中学時代の話を教えてもらっててさ。

 これ聞くとアタシ、ヤケにならずに生きる元気が出るんだわ〜。」

私「その次も赤点無かったら、足を骨折せずにすむ、2階からの飛び降り方を教えてやる。」

友人K「お前、何を教えてんの?」

私「受け身とか、クリップ二つで鍵を開ける方法とか?」

友人Y「え?鍵開けの方法?」

私「義務教育中に身についた、ちょっとした、淑女のたしなみだ。」

友人M「なぁ、K。お前こいつと同じ中学だよな。
 お前んとこの中学には忍者部とかあるのか?」

友人K「剣道部ならあるけど柔道部も無かったハズ…。」

友人M「今、ピーピングの事言ってなかったか?」

私「それは風車の弥七。天井裏からのぞきなんてしてないぞ。」

友人M「勘定奉行といえば。」

私「回船問屋。」

友人M「火付盗賊改方といえば。」

私「材木問屋。」

友人M「8時45分には。」

私「由美かおるの入浴シーン。」

友人M「越後屋、そちも悪よのぉ。(笑)」

私「お奉行様こそ、山吹色のお菓子がご所望のようで(笑)」

友人K「由美かおるのお色気シーンは必要ないのでは?(笑)」

私「否。としよりも、潤いが必要なのだ。(笑)」

友人M「時代劇なのに、なぜ入浴剤を使っているのか?」

私「それがゴールデンの限界だから。(笑)」

友人Y「いつの間に、水戸黄門の話に!」

友人M「Yちゃん、これは全て時代劇の、お約束、セオリーだ。

 そこは、越後のちりめん問屋のご隠居様と言って欲しかった(笑)」

私「悪い悪い、Mがピッキングとピーピングを間違えたあたりからかな?」

友人F「オモロ。あんた達の話にはついていけないわ〜(笑)

 では、皆さま、ワタクシお先にシツレイいたします〜♪
 しんじゅ☆♪、アドバイスありがと☆」

ロングスカートにピアスをした友人Fは薄っぺらい学生鞄を手に、片手を振って笑顔で教室を出て行った。

友人Y「…Fちゃん、彼氏に言うかな?」

友人M「言わないだろ。」

友人K「言わないだろうなぁ。言った途端逃げるのが目に見えている。」

私「十中八九逃げるだろ。
 分かってるから、最初怒ったんだ。

 それならそれで、人生勉強だよ。若いんだから、立ち直りも早い。」

友人Y「しんじゅ☆♪氏、達観しとるの〜。」

友人M「コイツ、処女のクセに妙に耳年増な発言するんだよな。」

私「やかましい。」

友人K「しかし、結婚はあこがれるよな。」

そこへ、ポニーテールの友人Cが入ってきた。

友人C「ナニナニ〜結婚退職の話?うふふ、いいよね〜玉の輿♪

…Fちゃんご機嫌で行っちゃったね。

アタシ、ちょっとFちゃん、おっかないんだ。
よくしんじゅ☆♪ちゃん達、平気で話せるよね?」

私「見た目はちょっとおっかないけど、根は素直な奴だぞ?
こわがんなくていい、珍しい動物ぐらいに思って楽しめばいいのに。」

友人K「おいおい、なんて言い草だ(笑)」

友人Y「レディに向かって、失礼ですぞ?しんじゅ☆♪氏。」

友人M「お前の方が珍獣だろ(笑)」

友人C「え〜?でもでも、ピアスしてロングスカートはいて、ヤンキーじゃん?」

私「アイツはあれでも努力してんだぞ?
スタイルいいだろ。」

友人C「え?うん、スラッとして、キレイだね。」

私「アイツのロングスカートは、ウエストを折込んで夜は少し短くなるんだ。」

友人C「え?逆じゃない?普通。学校で正規の長さにすればいいじゃない。
その方が不良っぽく見えないしさ。何が努力なの?」

私「アイツ、夜の集会にはウエスト部分を折り曲げてそこにカミソリを仕込んでんだ。
 男に襲われた時用にな。
 その為にはウエスト58cm〜62cmをキープしなきゃならない。

 普段から腹筋を鍛えてるんだ。」

友人M「え?努力ってそっち!?」

友人K「すごいっていえば、すごいけど、フォローのつもりがさらにヤンキーさをだしてるぞ?」

友人Y「え?夜の集会?カミソリ仕込み?え?」

友人C「余計怖いんですけど…。」

私「あーゆー奴らは見た目はおっかないけど、話を聞くと似たり寄ったりだ。

 ひねくれた奴にはそれなりの事情があるんだよ。

 ガキがひねくれるのは、こういう事を言うと、子供が傷つくと想像できないバカな大人が周りにいるからなんだよ。

 そのくせ、親のプライドからか、自分の非を認めないで、子供を馬鹿扱いしやがる。

 お互いそれが分かってないから、関係がねじれる。
 
 誰だって心が折れる事があるんだ、そん時に突き放されればひねくれもするさ。

 生意気な格好をするのも、本音は傷ついていることを気付いてもらいたいからさ。
 考えてやってるわけじゃない、ある意味、素直なんだよ。

 誰だってあっち側に転ぶ可能性がある。
 
 何も事件が起きなければ、誰だって不良になったりはしない。
 
 そうでない自分の幸運に感謝するんだな、Cちゃん。」

友人C「そっか…。
 自分が恵まれていただけなのかもしれないね…。」

友人Y「しんじゅ☆♪氏、いい事言うなぁ。」

私「あぁ、基本的に子供に非はないと思っている。

 けど、それが通用するのは十代までだ。
 親へのアピールも、もともと鈍感な奴ら相手だ。

 エスカレートして度が過ぎれば全部自分に跳ね返ってくる。

 結局、割に合わない行動なんだよ。」

友人M「そうだな。成績が良くても屈折した性格の奴いるしな。」

私「あぁ、ホントはそっちの方が心配な位だけどな。

 私は非行の芽を摘もうとか言ってるのは、的外れもいいとこだろって思う。
 未成年の非行がどーこーより、中高年の犯罪の方が怖いだろ。

 道理や理屈が分かってて、罪を犯すんだぜ?気味が悪い。」

友人Y「た、確かに。大人の方が怖いわ。」

友人K「一理あるな。」

私「だから、Fちゃんには、アンタはバカなんかじゃない。
 
  ただ、素直なだけだ。
 
  いくら親子で血がつながっていても、人間には相性がある。

  バカに期待しないで、いい友達を作れって言ってあるんだ。」

友人K「乱暴だな。(笑)」

友人C「いや、いい話だと思うよ。
 しんじゅ☆♪ちゃんが、あーゆー子達に好かれるのが分かった気がする。」

私「Fちゃんには、勝手に人の親を馬鹿呼ばわりするな(笑)と言われたけど。

 まぁ、こうして商業高校に通わせているだけ、冷血でもないし、お互い見込みはある。

 なるべくまともな大人と付き合って、普通の子供と友達になるように勧めたら。

 何か欲しいものは無いかと言われて、それ以来食べ物をもらっている。」

友人M「おいおい、いい話だと思ったら、顛末が怪しいぞ?」

友人K「うん、なんか、食べ物欲しさに親切にしているようにも聞こえる。」

友人Y「そこは、嘘でも何もいらないと美談で締めくくって欲しかった。」

私「感謝や、誠意は形で示してもらいたい人間なんだ。」

友人M「ただ単に食い意地が張っているだけだろ。」

友人C「えっと。ともかく、偏見は良くないって事よね。うん。

 で、さっき盛り上がっていたのは、結婚退職の話よね♪。
 いいよね、お金持ちと結婚したい〜〜。」

友人M「何?Cちゃんは、玉の輿希望なのか?進路は考えてる?」

友人C「うん、金融に決めている。

で、そこでお得意様のお金持ちに見初められて、玉の輿♪
もちろん、若くてカッコイイ旦那様よ☆

十代でウェディングドレスを着て、お姫さま抱っこされるのが夢なの〜♪
蝶よ花よと可愛がられて、素敵な奥様になるの〜♪」

友人Y「おぉ〜、まるでシンデレラですなぁ〜。」

友人M「女子は憧れるよね。」

私「何言ってんだ。
 
女の人の魅力で、若さや可愛らしさってのが一番はかない魅力なんだぞ?
年とったら消えちゃうんだぞ。
これからの女性の魅力は、知力、もっといえば、経済力だ。」

友人M「ほほぅ、穿った意見だが、その心は。」

私「私が男なら、ちょっといい生活をしたいから、女性には働いていてもらいたい。
 結婚退職じゃなくて、せめて、子供を産むまでは共働きだ。」

友人Y「ふむ。一理ありますな。」

友人K「しかし、奥さんには家庭におさまって欲しいって男の人もいるだろ?」

私「それは、それなりの収入のある人に限定されるな。

 下手に専業主婦になってみろ、古風な考え方の男に限ってマザコンだったりする。
 義理の母の干渉がきつくて、こんなことなら勤めに出ていればよかった、と思った時には後のまつりだぞ?」

友人C「えぇ〜?専業主婦いいじゃん。

 ウチのお母さんもそうだったし。
 経済力のある男性に見初められて早くに結婚して。

 普段は家事をやって、後は旅行や、素敵な洋服やバックを買ってもらって、オシャレしたいし?
 趣味を作って、あちこち出かけたい。」

私「甘いな。
  夫は保護者じゃないんだぞ?」

友人K「まぁまぁ、Cちゃんの言う事も分かるよ。
 憧れるよね、そういう優雅な奥さん。」

友人C「そうよぉ、女の子はみんなシンデレラに憧れるのよぉ。♪」

私「シンデレラ?

 ナニ言ってんだ。
 シンデレラが王子様と結ばれたのは、ガラスの靴がはけたからじゃない。
 
 舞踏会で一番の美女だったから、王子に一目ぼれされたんだ。
 
 ミスユニバースみたいなもんじゃないか。
 そんなのと、自分を一緒に考えるのはおかしいぞ?」

友人Y「なんですと・・・!」

友人M「斬新な意見だ!」

友人C「え!?ミスユニバース…!?」

友人K「ちょっ!ちょっと!!」

私「ついでに言えば、シンデレラはもともと金持ちのお嬢様じゃないか。
 
 ただの飯炊き女が、舞踏会に出て、キレイなドレスを着たからって華麗にステップが踏めるわけじゃない。

 もともと、素養があったんだ。

 王子様とは元々、同類の人間なんだよ。」

友人Y「えぇっ!?シンデレラのイメージが…。」

友人M「なるほど、そう言われてみれば、そんなサイドストーリだった気がする…。」

友人K「そ、そうかも…。」

友人C「え、でも、ちょっと、そんな事急に言われても…。

 でも、シンデレラは健気にイジワルな継母の仕打ちに耐えて、真面目に暮らしてて…。」

私「いいか?若くてかっこよくて、経済力のある男なら、女なんて入れ喰いだ。

 いくら性格がよくたって、そんな事はしっかり付きあわなきゃわからない。

 そんな手間かけなくても、大勢の女に群がられたら、男なら外見のいい奴を選ぶ。

 それが、結局、苦労していない、いいところの上品なお嬢様だったりするんだよ。
 
 玉の輿を夢みた女なんて、つまみ食いされてポイ、が関の山だ。

 同類の法則が働くんだ。

 金持ちのいい男と結婚したいってんなら、まず自分が金持ちにならなきゃ始まらないんだよ。

 若くて可愛いってのは、そのうちすたれるの。
 
 だから、女性には知性が必要だってんの。」

友人C「そ、そんな事言ったって、お金持ちと結婚する人だっているじゃん!」

私「そりゃ、いるよ?
じゅあ、なんで、金持ちと結婚したいの?」

友人C「だって、そんなの、やっぱり生活が豊かな方がいいじゃない。」

私「それなら、自分も働けばいいじゃない。」

友人C「だって、そんなの、やっぱり男性に養ってもらいたいし?
お金がいっぱい、たくさんあった方が不安じゃないし?」

私「お金がたくさんある人と付きあえて、相手に頼って、不安を無くしたいのね?

  そんな理由で結婚しても、うまくいかなくなることもあるじゃない?」

友人C「すくなくとも、お金の面では心配がなくなるじゃない?」

私「結婚はギャンブルだよ。
  
  付きあっている時は優しくても、結婚したら何もしなくなるかもよ?
  釣った魚にエサはやらないという男性もいるし。」

友人Y「そうばかりとも限らないんじゃない?」

私「そうだね。
  でも、男性から見て、女性に魅力を感じなくなって、ほったらかしになることもある。

  結婚しても、浮気されるかもしれない。
  結婚しても、交通事故で相手が死んでしまうかもしれない。
  結婚しても、交通事故で下半身麻痺になって、看護ばかりになってしまうかもしれない。
  結婚しても、相手の親が脳溢血で介護生活になってしまうかもしれない。

  その時、つらくて結婚辞めたいとなっても、お金を自分で稼ぐことができなければ、離婚できないかもしれない。

 相手の事が好きで惚れているなら耐えられるかもしれないけれど、お金に魅力を感じて結婚したら、すぐに嫌になると思うよ。

 そして、離婚した時、自分は中年で親も頼りにならなくなっていたとしたら?
 再婚も、就職も難しくなっていたら、後悔しない?」

友人C「そんな悲惨なパターンになるとは限らないでしょう?」

私「だから、ギャンブルだと言ったの。
 もちろん、何不自由なく、幸せになることもある。
 でも、人間の基本的な幸せは自分で自分を養えることだと思うよ。

 自分たちの親の頃とは世の中が変わってきているんだ。
 専業主婦になれればいいや、では中年以降、どうすごせばいいか困らないかな?

 それに、順当にいけば、親の方が先に寿命が来る。
 いつまでも、甘えられるわけじゃないんだよ。」

友人K「まぁまぁ、しんじゅ☆♪の言う事ももっともだけどさ。

 家族を大事にする、心優しい旦那様を見つければいい話だよ。
 金持ちかどうかは別にしてさ。」

友人M「まぁ、お金持ちだと人の心の機微に無神経な奴も多そうだしな。
 無難に、普通の男性を探す方が幸せになりやすい気がするな。」

友人Y「うん、心優しい人を探せば一番だよ。」

友人C「うん…。」

と、友人Cちゃんは肩を落として、その場を離れました。



友人Y「しかし、しんじゅ☆♪氏、すごかったですなぁ。
とても、同い年とは思えませんわぁ。」

友人M「あぁ、シンデレラはミス・ユニバースと一緒という意見には、たまげたぞ。」

友人K「言われてみれば、身もふたもないというか…。」

友人Y「長年の夢が打ち砕かれて、Cちゃん、落胆しておりましたな…。
 私もチトショックを受けておりますな。」

友人K「あぁ、なんか、夢がないというか、ロマンがないというか…。」

友人M「核心をついているんだろうけど、殺伐としてるよなー。
 無味乾燥というか…。」

私「ん?あれは両さんが言ってたんだ。ジャンプの。」

友人K「え?りょうさん?」

友人Y「あ、分かった!シティーハンターの?」

私「や、こち亀の両さん。」

友人M「こちかめ?」

私「『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の主人公の両津勘吉。警察官なの。サエバリョウじゃないよ。」

友人Y「よく、そんな長いタイトルをスラスラと…。」

友人K「それに、結婚にまつわるリスクの話。よく思いつくな〜。」

私「や、バイト先に『女性〇身』とか『女性セ〇ン』とかあるから、休憩中によく読むんだよね。」

友人M「だから、中年臭い考え方だったんだ。お前のニュースソースって…。
やっぱ、耳年増だな。(笑)」

私「中年臭いかぁ?まぁ主婦向けだけど。
  女性週刊誌って、ありそうでないのが政治のページなんだよね。」

友人M「主婦にはページをさくほど需要がないからだろ。」

友人K「なんか、お前共働きにこだわるけど。
 本当は、お前も自分で使えるお金が無いと不安なんじゃないか?」

私「実はそう。Cちゃんと、変わらないのかもしれないな。

 私は、逆に専業主婦でいいとか。
 奥さんに給料明細を渡して全額任せる関係が築ける方がスゴイと思っている。」

友人M「お前、男性不信だろ。」

友人Y「そう言われてみれば、そんな感じしますなぁ。」

私「うん…。ウチのお父さん、暴力がひどくてさ。
 お母さんガンガン殴られて、離婚せずに我慢して早死にしちゃったからさ。

 自分で稼げたら、そんな事にならなかったのに、とか。
 片親だと何かと苦労したからさ、女の子も手に職を持った方が絶対いいと思ってきつく言ってしまった。

 Fちゃんにとっては、高校卒業資格が保険。
 Cちゃんには、庇護欲で、男を見る目を誤って欲しくなかったからさ。」

友人K「ひごよく?庇護欲ってナニ?」

友人M「保護欲じゃ、意味が繋がらないか…。」

私「保護者が子供を保護するのに、似てるけど…。

 まぁ、親鳥がヒナを温かい翼で包むイメージかな…。

 自分で巣立てるのに、構って欲しい、守って欲しいって気持ちの事。」

友人K「あぁ、なんとなく分かった。」

友人Y「しんじゅ☆♪氏、口は悪いけど、いい子ですなぁ。」

友人M「お前、なんも考えてなさそうだけど、たまに賢いよな。」

友人K「そんで、しんじゅ☆♪就職どうすんの?
金融か、システムエンジニアやプログラマーが花形だけど。」

私「うん、まぁ、今、それが人気だけどさ。
 ウチらが習ったのって、オフコン(オフィスコンピューター)のプログラム言語じゃん?

 コボル、ベーシック、フォートラン、C言語とかあるけど、今C+とかC++とか、次々開発されているし。

 花形業種ってことは、成熟市場なんだよね。
 潜在的な希望者も後を絶たない訳だし。

 後から後から能力の高い若手が入って来て、勉強しても追い付かなくなって、いずれ押し出されるよ。
 
 ミカンが豊作だと、ミカンの単価が下がって、ミカン農家が貧乏するじゃん?
 アレと一緒だと思うし、コンピューターは向いてないわ〜。

 それに、オフコンじゃなくて、パソコンの時代が来るだろうしね。」

友人M「需要と供給のバランスを考えたか。なるほど。

 しかし、C言語とか詳しいな。ウチラそこまで習ってないだろ。」

私「うん、兄がSEで、実情を聞いているからね。」

友人K「それじゃ、金融や大手メーカーとか。」

私「それもいいんだけど、これから伸びる業種にしようかな、と。」

友人Y「パソコンの時代が来るって言ってたけど、それは無いんだよね?」

私「うん、機械苦手^^;

 で、情報化社会、高齢化社会と、第二次ベビーブーム世代の就職があるわけだ。
 例えば、ウチらベビーブーム世代もあと十年もしたら、結婚して家を買うんじゃないかな?

 だから、家の売買とか、建築業もいいかな?とちょっと思ったんだけど。」

友人M「けど?」

私「バブル景気もかげりが見えてきていると言うし。

 景気は必ず上下を繰り返している。
 今、好景気という事は、今後不景気が来るわけで。

 大学生が豪遊するような、異常な好景気の後となると、反動で不景気が続くと思う。」

友人M「どんな感じを予想しているんだ?」

私「このバブル景気は、持ってあと2〜3年。それ以降、10〜15年はゆるい不景気が続くと思う。

ちょうど、ウチらが中年に差し掛かる頃は、まだ不景気が予想される。
 と、なると何千万もローンを組んで家を買えるとは限らない。

 親の援助とか無いと、中々土地付きの一戸建てなんか手が出ないと思うんだよ。
 だいたい、ベビーブームの人間が全員一戸建てを立てるだけの土地が日本には余ってないだろ。

 大半が賃貸におさまると思うと、ゼネコンも怪しいかな、と。」

友人Y「いろいろ考えてますな〜。それで、どんな職種を?」

私「一番確かなのは、老人が増え続けるって事。
  
  ちょっといいかな?と思ったのが、セレモニーホールで働くというのなんだけど。」

友人Y「セレモニーホール?」

私「葬儀屋だよ。老人が増え続けるってことは、お葬式が続くじゃないか。」

友人M「えげつないけど、目の付け所はいいな。」

私「問題は、生身の人間と、死んだ人間の区別がつかない時が、ごくたまにあるって事だ。

 頭のおかしい人間だと思われかねないし、それに霊に異常に好かれる霊媒体質だろ。」

友人K「しんじゅ☆♪には、無理。数年で過労死しかねない。やめとけ。」

私「私も正直、どうせなら、結婚式とか、お祝いの仕事の方がしたいしな〜。

 なんか、やっぱり、お葬式だと思うと、気も遣うだろうし、気が重い。」

友人Y「じゃ、やっぱり金融とか?メーカー?」

私「さっきも言ったけど、これから先、確実に不景気が来るからね。

 今いい業種は逆に危ない気がするんだよ。
 大手ならいいかもしれなけれど、それは成績優秀者で先に埋まっちゃうだろ?」

友人K「お前も結構成績いいだろ。」

私「うん、でも、まぁ、そこそこだし?
  
 高齢化社会となれば、医療、介護、福祉とかの分野が一番活発になると思う。」

友人K「そうか…。いいかもな。」

友人Y「渋いところに目を付けましたな。」

友人M「だから、看護婦とか言ってたのか。」

私「そう、結婚後も続けられそうだしね。
でも、学校に行くだけのお金がないし、体力的に難しい。
 
 で、目を付けたのが、病院を経営している所の事務職って訳よ。
 しかも、福利厚生がかなりいい。給料はそれほどでもないけど。」

友人Y「それは、倍率高いんじゃない?」

私「いくつか調べたけど、だいたい10倍〜30倍かな。

 でも、この高校の卒業生で毎年って訳じゃないけど一人二人採用されている実績があるの。」

友人M「ほう。」

私「そこの経営理念が『地域社会に貢献する、皆さまに愛される会社』っつってんのよ。

 裏を返せば、クリーンなイメージを大事にしているから、地元の高校からも採用者をとってますよって読めなくもない。

 これはイケルと思うんだ。」

友人M「お前、進路指導の先生いらないな。」

私「あぁ、担任にびっくりされたけど、笑って色々資料を渡してくれたよ。
 さすが、商業高校だね、先輩たちが残してくれた、採用試験の覚えが残っていた。

 この業種にチャレンジする奴はあまりいないから、がんばってくれって言われたよ。」

友人Y「ともかく、しんじゅ☆♪氏の進路方針が決まって、一安心ですな^^」

友人K「自分がなりたい職業じゃないってところがちょっと気になるけど、がんばれよ。」

友人M「しかし、お前、共働き結婚とか言ってるけど、結婚できるのか〜?」

友人K「それは、アタシも心配。お前、結婚は同世代とか無理そう。」


ふと、私の脳裏にキラキラと輝く長い金髪のイメージがよぎります。
(過去記事→少女時代16)


私「…大人になっても、覚えていたら…。

 アレ?なんだっけ?」

友人M「何?突然電波受信したか?」

私「長い金髪のイメージが…。

  結婚…。

  ラプ…。ラピ……ル。

  アレ?なんだっけ?思い出せない…。」

友人Y「どしたの?しんじゅ☆♪氏。」

友人M「あ、分かった、ラプンツェルだ…。」

友人K「二階の窓から長い金髪を垂らして男に登って来てもらう話か。」

私「いや、ちょっと違う…。

 ラプンツェルじゃなくて、外国風の言葉で…。
 ラプ、ラピ…。

 発音できない。アレ?なんだ、デジャブ!?」

友人M「ラプンツェルじゃないのか?」

私「う〜〜ん、なんだっけ?結婚にまつわるなにか…。
  思い出せないな…。
  でも、金髪の知り合いなんていないしな、なんだ、この記憶。」

友人M「どっかの絵本の思い出だろ?」

私「絵本って感じはしないんだけど…。

  金髪と、白い花…。
  ん?なんかすごく大事な事だったような気がするんだけどな…。」

友人M「なぁなぁ、長い金髪垂らして、よく女無事だったよな。」

友人K「意外と人間の髪の毛は丈夫なんだぞ。

男一人ぐらいは平気で支えられると思うけど、問題は女の頭皮だよな。」

友人M「頭皮もだけど、首とか折れちゃわないか?」

友人Y「辞めて〜、またここでもおとぎ話を台無しにする話が。><;」

私「ラプ…。ラピ…。う〜〜ん思い出せない。」

友人M「なぁなぁ、ラプンツェルっておいしそうな名前だよな。」

私「それはプレッツェルだろ。」

友人Y「え、お菓子の?」

私「それはプリッツだろ。なんかお腹空いて来たな〜。」

友人M「そろそろ部活行こうぜ。」

友人K「それじゃ、アタシは帰るね。」


そんな感じの放課後でした。



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