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少女時代30

私(…年の頃なら、16〜17歳か…。
  嫁に行ってもいい頃合いだが、この国の娘たちは幼いな…。
  あんなに素肌をさらしていても、あまり色気が無い。
  肉付きが薄いんだな。
  しかし、あの象牙色の肌は美しいな…。)

そこは、商業高校の教室内で、女子生徒達が、制服から体操服へと着替えをしている最中でした。
私はいち早く、着替えを終わって、椅子に腰かけ、他の女生徒の着替え風景を机に両肘をつき、両手を組んでその上に顎を乗せて眺めています。

私(あれが、ブルマというものか。
  運動用の衣装というが、これもなかなか…。)

ベシッ!!

突然、視界が塞がれます。
気付けば、紺色のサブバックで頭をはたかれています。


私「…うん?突然、何をする。」

友人K「うん?じゃ、ねぇ!!何を覗いてんだ!」

霊感少女の友人Kが、自分のサブバックで私の頭をはたき、制服姿で仁王立ちして怒っていました。


私「覗きとは人聞きの悪い。
  好奇心から来る、単なる観察と言って欲しいな。」

K「女子高生は、そんな舐める様な目で女子生徒の着替えを眺めない!!
  誰だ、テメェ!」

私「誰とは、これいかに。
  不思議な事を言うご学友だな。」

K「不思議な事を言ってんのは、お前だ!
  しんじゅ☆♪は、そんな言い方しねぇっ!!」

私「そうか?」

K「おかしいだろっ!
  普通頭をはったかれたら、痛い!とか言うだろ!」

私「痛かったぞ?」

K「その話し方が、もう、しんじゅ☆♪じゃねぇって言ってんだ!」

私「まぁ、そう怒るな。ごく普通の女子高生の言動だと思うのだが。」

K「あいつは、いつも、『眠い』か『お腹減った』か『それ食べれる?』が基本だ。
  アタシの事を学友とか、言わねぇ!
  ボキャブラリーに無いんだって!」

私「さんざんな言われようだな。」

K「ちっ!!どこで拾ってきた。」


友人Kがイライラした面持ちで、右手をあげる。
彼女が私に憑いてきた浮遊霊を祓う時の合図が指パッチンだから、その準備をしているのだ。

私は左手を上げて、彼女の右手を包み込むようにして、その動きを制止する。


私「まぁ、待て。『私』は、『私』だ。」

K「『私』だと?…」

友人Kは、耳を澄ますような表情をする。 

K「中身、オッサンじゃねぇか!
  それも外人。
  こいつ、いつ、どこで、こんなもん拾ってきやがった!」

私「オッサンとは、心外な。せめて年配の男性と言って欲しい所だ。
  これ、このとおり、どこにでもいる普通の女子学生だ。」

ベシッ!!

私の脳天に友人Kの立てチョップが炸裂します。


K「嘘をつけっ!
  日本の女子高生をなめんなよっ!!

  くそ、がっちり重なってやがる。
  こいつの、前世か?」

私「ほら。そんな詮索よりも、早く着替えなくていいのか?(笑)」


私は自分の頭を片手でさすりつつ、ニヤニヤしながら、友人Kのサブバックを差し出します。
バックの中身は体操服が入っているのを知っているからでした。

K「やかましぃ!!女子生徒の着替えをのぞく変態の側で着替えれるかぁ!!
  もう、怒ったぞ。
  今日という今日こそは、お前の正体を暴く!」

私「やめたが、いいぞ。(笑)」

K「いいや。以前から気になってたんだ。
  なんで、コイツに災難が降りかかり続けてんのか。
  こいつのオーラがしょっちゅう変わってんのか!」


友人Kは険しい表情をして、何か神経を集中しているような風情をしたかと思うと。
大きく瞳を開いて、小さく叫びました。

K「うわっ!!」

私「視えたか。聡い目をしているな。
  あまりこれに関わるな。
  魂をとられるぞ。」

K「な…な…。」

私「この娘が災難に見舞われるのは、この娘の周りの者が同じ目に遭うのを防ぐ為だ。
  同じ学校に通う者が、不幸な目に遭うのに心を痛めている。
  私をはじめ、この娘は守護が強いから、この程度の災難で済んでいるのだ。

  しかし、大勢の者の災厄を一身に集めているから、いつもボロボロだ。
  学友殿にも、迷惑をかけているが、感謝している。
  だが、ほどほどにしておかぬと、目を付けられるぞ、見鬼殿。
  (↑注:けんきどの:霊を見る事が出来る人の事)」

友人Kはワナワナと震えたかと思うと。
一気に駆け出して、教室を飛び出して行きました。


友人M「ん?どったの?なんでKは出てった?」

私「え?さぁ?」

着替えを終えた、友人Mが私の席の隣に来て、話しかけてきました。
一緒に、友人Yも側に来ています。

しかし私は今の今まで友人Kと交わしていた会話を全て忘れていました。

すると、教室の扉が勢いよく開き、友人Kが顔だけを出して叫びました。

K「しんじゅ☆♪!お前、キリスト教を信心しろっ!!
  アタシおっかねぇよ!
  アタシだって、自分がかわいいから、これ以上は無理っ!!
  自分の身は自分で守れ!
  逆さ磔にされても、知らないからなっ!!」

それだけ言うと、再びドアを勢いよく閉じて、出て行ってしまいました。

私「何?アレ?」

友人M「逆さ磔?スリーパーホールド?
    何、お前ら、キン肉マンの話でもしてたのか?」

私「知んね。生理じゃね?」

友人M「あぁ…。」

友人Y「しんじゅ☆♪氏は、もうちょっと、なんていうか、乙女らしさとか、デリカシーとか…。
    Mちゃんも、そこで納得せずに、Kちゃんの心配したら?
    着替えもせずに出てっちゃったんだからさ。」

私「大丈夫じゃね?アイツしっかりしてるし。」

友人M「あんだけ大声出せれば、大丈夫でしょ。」

友人Y「そりゃ、そうだけど…。」

友人M「それよりさー、スリーパー・ホールドって難しいよな。
    ウォーズマンの決め技じゃなかった!?」

私「あぁ、ウォーズマンだったと思うよ。
  私はロビンマスクが好きだけど。」

友人M「あぁ、私はテリーマンが好きだな。」

私「いやいや、私はジェロニモが好きだな〜。
  超人じゃないのに、超人を目指している所に泣けちゃったよ。」

友人M「アタシも〜。キン消しって集めた?」

私「や。私は集めてないよ。弟が集めてたけど。」

友人M「だよね〜。やっぱ、アレは男子が楽しむものだよね。」

友人Y「だから、もう、次は体育だからさ。
    Kちゃんの事も、少しは心配もしようよ。
    とにかく、移動するよ。」


                    



ま、そんな事がありましたね〜。
すっかり忘れていましたけど。
コレ、ペテロ人格が女子高生の生活を楽しみに、もとい、私の周囲を浄化をしに来てくれていたみたいです。

こうして、記事にして気づいたのですけど。
別の人格が入り込んでいる間のやりとりは、その時の私の記憶から抜け落ちているようですね。


…そういえば、一度だけ。
高校生の時、丸一日、自分の記憶が無かったことがあって。

ノートを見ると、自分の筆跡できちんと書き込まれています。
友人達に聞いても、普段と変わらなかったよ?とくにおしゃべりはしていなかったけど、との答えでした。

その事があって。
私は自分の進路に医療系は省くことにしました。
記憶が抜け落ちているという事は、責任の重い(命のやりとりをする医療系は特に)仕事は任せられない。

とにかく、人数の多い職場にしよう、と決めたのでした。

高校生の時は、異常に眠気が襲い、どこでも寝てしまっていましたし。
(さすがに社会人になってからは、そういう事はありませんでしたが。)

自分でもうすうす人格が変わる事に気づいていましたから。

多重人格なのではないか、と疑い、就職してから通い始めた短大の通信教育で、心理学を専攻しましたが。
特に、異常は認められませんでした。



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