私はフォーカス100のミカエルさんの所へ移行します。
彼の邸宅に入り、途中、子供天使達にお茶を頼みつつ、書斎を訪ねます。
私「ミカエル…。」
書斎に入った途端、ミカエルさんが私の側に足早に歩み寄ります。
まるで、私が入って来るのをあらかじめ知っていたかのように…。
ミ「行って来たんだね、ルシフェルの所に…。」
そう言って、彼は私を抱きしめて、背中の羽根を撫でます。
彼の腕の中で、私は答えます。
私「えぇ。言いつけを何度も破って、ごめんなさい。
でも、貴方の言う通り、危険な人物だとは、どうしても思えない。」
ミ「それは、彼が君を気に入っているからだよ。
通常、天使があの領域に足を踏み入れたら最後、抜け出す事はほとんど不可能だ。
君が特別なんだよ…。」
私「…そうかも知れません。
露悪的な態度をとりつつも、なぜか彼からは愛を感じます。
私が子供の頃から、何度も彼に会っていたせいかもしれませんが、彼には親しみを覚えます。
そして、私は統合を持ちかけました。
しかし、彼が私に与えたのは、他人のへミシンカーの能力です。
彼は気に病むな、と言っていましたが…。
私自身では、この能力を彼に戻す事はできません。
ミカエルさん、あなたならできますか?」
ミ「いいや。それに彼の言う通り、君が受け取ったものだ。
君自身のものにしなさい。」
私「そうですか…。
随分と、私に都合のいいような説明をされたものですから…。
そういえば、よく意味のわからない事を言っていました。」
ミカエルさんは私を抱きしめる力を強めます。
私「ミカエルさん、苦しい。
もうちょっと、力を弱めて。」
ミ「ん…。」
ミカエルさんが腕を離したので、私はプハッ!と息をします。
私「ミカエルさん、この力を頂いた結果、背中の羽根が成長しました。
これで16枚、生え揃ったことになります。
なんだろう…。ルシフェルさんも、私を育てているって事でしょうか?」
ミ「…もう、彼の元に行かないで、僕の天使。」
そう言って、再び、彼が私を抱きしめます。
私「ミカエルさんが、そう言うのなら、もう行きませんよ。」
ミ「…もう、遅いかもしれない…。
彼は君に目をつけた。
だから、君に彼を会わせたくなかったんだ。」
私「ミカエルさん?それともユアンさんなの?
でも、大丈夫ですよ。
私は貴方の側を離れませんから。」
ミ「私の花嫁。私だけの…。」
ミカエルさんが涙ぐんでいます。
私「ミカエルさん?
泣かないで。
私は貴方と愛し合って、幸せですから。
ルシフェルさんが、何か言っても、気にしないで下さい。
人間の私をお嫁さんにしてくれて、ありがとう。
でも私は心苦しいのですよ。
人間の私が貴方と愛し合っていると、貴方に天使の子供を産んであげれない。
あなたは大天使なんでしょう?
私では貴方に家族を増やしてあげられない。
だから、私は貴方の家庭を守りたい。
それでつい、ルシフェルさんに文句を言いに行ってしまいましたが…。
これからは、やめにします。
きっと、彼も寂しかったんだと思います。
一緒にお茶でも飲めればいいのですけれど…。」
そう言うと、彼は私に口づけをして来て。
そのまま私を抱いて、書斎の奥へと引っ張って行きました。
結局、子供天使達が用意したお茶を無視して。
二人で愛し合っていたのでした。
