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夜明け前22

私の意識体がメタモルフォースした、翌日。
いつものとおり、午後11時まで残業をして、くたくたで帰宅します。
お風呂を済ませてベッドで横になると、すぐにミカエルが迎えに来ます。

ベッドサイドに佇む、彼の気配を察知して、私は暗闇で彼を見つめます。
しかし、彼の顔を見た途端、罪悪感に苛まれ、泣き出してしまいます。

私「ごめんなさい、ごめんなさい、ミカエル…。」

ミ「泣かないで、私のラ・ピュセル。
  私は無事だったのだから…。」

そう言って、彼は私を抱きしめようとしますが、思わず背中を向けてしまいます。

私「ごめんなさい、ごめんなさい、ミカエル。
  私はもう少しで取り返しのつかないことをしてしまう所だった…。」

ミ「いいから。私は、無事だよ。
  さぁ、泣き止んで。」

彼は私を背後から抱きしめます。

私「でも、やっぱり罪は罪です。
  私はあなたを傷つけた。
  私は私を許せない…。」

ミ「もう、泣き止んで、私のラ・ピュセル…。」

彼は私の耳の後ろにそっとキスをします。
私は顔に手をあてて、泣き続けています。
すると、彼は私の手首を掴んで自分の胸を触らせます。

ミ「ほら、もう痛くない。
  大丈夫だよ。
  心配しなくていい。」

私「うん…。ミカエル、無事でよかった…。
  でも、やっぱり…。」

私がグズグズと泣き続けると、彼は強引に口づけをして来て。

ミ「本当に、頑固だね、君は。
  私のいう事を、ちっとも聞かない。
  そんな子はオシオキだ…。」

そうして、私を抱きしめてきます。
私も彼の体温を感じて、安心します。

そうして二人で愛し合っていると、これが羽化登仙の境地なのだろうか…という恍惚感に浸れます。

私「ミカエル…気持ちいい。
  あなたと、こんなに深く愛し合えるなんて…。」

ミ「あぁ…。
  君がこんなに私を感じている…。
  かわいい…。
  私が、君の一番だよ…。
  愛してるよ…。」

私「愛してるわ…。
  もう…正気…保てない…。」

深く、深く愛し合い。
私はとろけるような恍惚感に浸され、涙を流し続けます。
彼は私の快感を感知しているようで、彼もまた、恍惚としています。

快感の応酬。

二人でどこまでもどこまでも幸福感に満たされます。

ミ「綺麗だ…。
  君が私を感じて、泣いている…。
  君は暖かくて、柔らかい…。
  私の花嫁…。」

私「ミカエル…。
  お嫁さんにしてくれて、ありがとう…。
  女の子に生まれて、よかった…。
  幸せ…。ずっと側に置いて…。」

それはそれは幸福で…。

私達は毎日愛し合っていました。

そうして、私はずっと彼と一緒にいられると思っていました。



私が『ラ・ピュセル』の検索をかけて、ウィキペディアでジャンヌ・ダルクの生涯を知ったのは4月18日の事。
私の意識体がピンク色の髪と瞳にメタモルフォースしたのが4月20日。
そして、ミカエルに白百合の花束が婚約の証だと言って、プロポーズされたのを思い出したのが、その翌日21日。


この2週間後、突然、なんの前触れもなく、彼は私の前から姿を消しました。

…あるいは、私の軽率な行動が原因だったのかもしれません。

そのお話は順を追ってお話しますね。


まだ、私が彼らを知覚して、幸福だった頃のお話が続きます。



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