私の意識体がメタモルフォースした、翌日。
いつものとおり、午後11時まで残業をして、くたくたで帰宅します。
お風呂を済ませてベッドで横になると、すぐにミカエルが迎えに来ます。
ベッドサイドに佇む、彼の気配を察知して、私は暗闇で彼を見つめます。
しかし、彼の顔を見た途端、罪悪感に苛まれ、泣き出してしまいます。
私「ごめんなさい、ごめんなさい、ミカエル…。」
ミ「泣かないで、私のラ・ピュセル。
私は無事だったのだから…。」
そう言って、彼は私を抱きしめようとしますが、思わず背中を向けてしまいます。
私「ごめんなさい、ごめんなさい、ミカエル。
私はもう少しで取り返しのつかないことをしてしまう所だった…。」
ミ「いいから。私は、無事だよ。
さぁ、泣き止んで。」
彼は私を背後から抱きしめます。
私「でも、やっぱり罪は罪です。
私はあなたを傷つけた。
私は私を許せない…。」
ミ「もう、泣き止んで、私のラ・ピュセル…。」
彼は私の耳の後ろにそっとキスをします。
私は顔に手をあてて、泣き続けています。
すると、彼は私の手首を掴んで自分の胸を触らせます。
ミ「ほら、もう痛くない。
大丈夫だよ。
心配しなくていい。」
私「うん…。ミカエル、無事でよかった…。
でも、やっぱり…。」
私がグズグズと泣き続けると、彼は強引に口づけをして来て。
ミ「本当に、頑固だね、君は。
私のいう事を、ちっとも聞かない。
そんな子はオシオキだ…。」
そうして、私を抱きしめてきます。
私も彼の体温を感じて、安心します。
そうして二人で愛し合っていると、これが羽化登仙の境地なのだろうか…という恍惚感に浸れます。
私「ミカエル…気持ちいい。
あなたと、こんなに深く愛し合えるなんて…。」
ミ「あぁ…。
君がこんなに私を感じている…。
かわいい…。
私が、君の一番だよ…。
愛してるよ…。」
私「愛してるわ…。
もう…正気…保てない…。」
深く、深く愛し合い。
私はとろけるような恍惚感に浸され、涙を流し続けます。
彼は私の快感を感知しているようで、彼もまた、恍惚としています。
快感の応酬。
二人でどこまでもどこまでも幸福感に満たされます。
ミ「綺麗だ…。
君が私を感じて、泣いている…。
君は暖かくて、柔らかい…。
私の花嫁…。」
私「ミカエル…。
お嫁さんにしてくれて、ありがとう…。
女の子に生まれて、よかった…。
幸せ…。ずっと側に置いて…。」
それはそれは幸福で…。
私達は毎日愛し合っていました。
そうして、私はずっと彼と一緒にいられると思っていました。
私が『ラ・ピュセル』の検索をかけて、ウィキペディアでジャンヌ・ダルクの生涯を知ったのは4月18日の事。
私の意識体がピンク色の髪と瞳にメタモルフォースしたのが4月20日。
そして、ミカエルに白百合の花束が婚約の証だと言って、プロポーズされたのを思い出したのが、その翌日21日。
この2週間後、突然、なんの前触れもなく、彼は私の前から姿を消しました。
…あるいは、私の軽率な行動が原因だったのかもしれません。
そのお話は順を追ってお話しますね。
まだ、私が彼らを知覚して、幸福だった頃のお話が続きます。
