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夜明け前32

ベッドから起き上がると、すぐさまバスルームに向います。
慌ててパジャマを脱ぎ捨て、シャワーヘッドを掴み、蛇口を捻り。
頭からシャワーを浴び続けます。

『…私が知っていたとして、その体でどうやって、アイツの所まで、移動する気なんだ?』

(何が、ミカエルがいい、だ!
 最初から彼に抱かれるのを目的で地下に行ったくせに…。
 もう、男性が欲しくて、我慢の限界だった。
 
 それなのに、土壇場で泣き出して、彼を悪者にしただけだ…。

 一体、私は何をしているの…。)

マンションの他の住人が水を使ったんでしょう。
シャワーから吹き出るお湯の内、水が減って温度が高くなるのに構わず頭からお湯を被り続けます。

『…ここに居て欲しい。』

(無理だ…。
 あれほどの闇を抱えて、私なら正気で居られない。

 今だって、ミカエルやラファエルに会えないだけで心が悲鳴をあげているというのに…。
 この上、さらにルシフェルまで構ってやれる余裕なんてない…。

 結局、彼は一人ぼっちなのか…。
 私は寂しさに負けて、彼に救いを求めて…。

 彼の手を振り払って、自分勝手に帰ってきただけ…。)

今度はシャワーヘッドからあふれ出すお湯の量が増えました。
ぬるいお湯が私の頭に降りかかり続けます。

(ミカエルと結婚して、わずか3ヶ月だ。
 それも、すぐにラファエルの元に走って、二股していて…。

 そのうえ、ミカエルの兄と関係を持ってしまった。
 私は頭がおかしいのではないか?

 もてない女が、絶世の美男子に求愛されるという妄想を実体験だと錯覚しているだけじゃないのか?

 自分が天使の生まれ変わりだなんて、誰にも相談できない…。
 以前に比べて半減したとはいえ、よく読者が離れなかったものだ…。

 一体自分はなんなんだ?
 よくも、自分はミカエルの妻だなんて、言えたものだな…。

 『私の肉体と魂を差し上げます。
  明日死んでも構わない。
  私と結婚してください。』

 そう言って、ミカエルに求婚したくせに…。
 どれだけ身勝手なんだ…。)

瞳を閉じて、壁に拳を打ち付けます。
お湯と一緒に涙が頬を伝っていきます。

瞳を閉じた状態で、再び、自分の左胸に直径20cm程の薄い黒色の渦巻きがあるのに気づきます。
中央は漆黒に近く、そこから7,8本の先細り筋がのびており、それが時計回りに回転しているのが見えます。 
そっと手を近づけると、ヒンヤリとして、ルシフェルの気を感じます。

(やはり、妄想ではないのか…。
 体内に彼の気が渦巻いている。
 まるで、黒い蜘蛛みたいだな。
 彼の刻印…。

 一回交わるだけで、これだけオーラが混じるのか…。

 最後に会った時のミカエルはこれに気づいていたんだな。
 だから『彼の方が良かったのか?』と怒ったんだろう。

 彼の瞳には、どんな風に私が映っていたんだろうか…。

 ミカエル、会いたい。
 でも、ミカエルに会えないような事を私はしでかしてしまった…。

 ルシフェルも救えない…。
 ラファエルにも会えない…。
 一体、どうしたらいいの…。

 どうして、ミカエルと会えないの…?
 私には何も分からない…。


 …情報を集めよう。
 これでは作戦も立てられない。

 一つ分かっている事は、もう自分一人の力ではどうにもできない、という事だけ。
 ルシフェルと交わって、頭がスッキリしている今のうちだ。
 悲しむのは後だ。

 今まで、一匹狼で活動してきたが、もう限界かもしれない。

 他のへミシンカーから、情報を集めてみよう。
 この状態がいつまで持つかわからない。

 できるだけ、情報を集めて、客観的に判断するんだ。
 分からないことが多すぎる。
 
 まだ、諦めるのは早いはず。
 私はまだ、何もしていないからだ…。)

私は蛇口を捻り、バスルームを後にしました。

髪を乾かすのもそこそこに、PCの前に座ります。

(他の人の記事を読んで、自分のブログを書く姿勢がぐらついてはいけないと思って意識的に避けてきたけど、もうそうも言っていられない。
 とにかくたくさんのヘミシンカーを知るんだ。)

検索をかけて、大勢の人の記事を読みます。
つい、それらの記事の内容に引き込まれて、ドンドン読みすすめていきます。

(…面白いな。本当にヘミシンクの体験は、千差万別。
 色々あるな〜。
 大きく分けて、体外離脱派とバイロケーション派の二つか。
 私はバイロケーション派だな。

 …でも、なんだろう…。
 全体的に物足りない。

 …ヘミシンクに対する本気度が低いというか…。
 まぁ、リラクゼーションツールだしな。
 それに傾倒しすぎるのも、妙な話か…。

 私と同じような体験をした人、特にできれば女性がいいのだけれど。
 ざっと目を通してみたけど、やっぱり居ないな…。

 せいぜい、妙な存在に絡まれて、慌てて逃げ帰ってきた、という位か。
 これでは最後までやったかどうか不明瞭だし、唐突にそんな突っ込んだ内容のコメントも送れないしな…。

 もしそんな体験しても、おおっぴらに公開する必要性もない。
 やはり、ブログでの情報収集は無理か…。

 以前、ムンクさんがミクシィに入るといいと言っていたよな…。
 そっちの方が濃い内容の話が書かれているって。

 やっぱり、ミクシィに入るのが先決だな。

 …なんとか入れたけど、どうやって仲間を探すんだ?
 とりあえず、ムンクさんにミクシィに入ったと挨拶文を送っておくか…。)

その後もパソコンでへミシンカーさんの日記を読み漁ります。

(なんだろう…昼間から読み続けてずっと感じていた違和感…。
 ヘミ体験は千差万別ってのは分かっていたハズなんだけど。

 なんていうか…。
 ガイドがこう言った気がする、とか。
 そんな風に見えた、とか。
 かすかに声が聞こえた、とか。
 この映像は、こういった象徴だと思う、とか。

 なんで、こうも曖昧なんだ?
 暗示を必死になって、読み解いている、という感じだな。

 姿が見えて、声が聞こえて、感触があって、匂いもあって。
 おいしい料理を食べたり、服を着替えたり、お風呂に入ったり。
 お庭を散歩して植物のそよぐ様や、お屋敷の家具や建物の細部に至るまで完全に見えている。

 彼の手の平の感触や、指紋や産毛。
 すべてリアルにくっきりと見えるし、抱き合う感触も、吐息や、唾液の甘さまでも現実そのものなのに。
 
 ミカエルさんとのHは最初の頃、リアリティーが無かったけど。
 ジャンヌの記憶を取り戻してからは、しっかり感じ取れて、多分、私の無意識のブロックがかかっていた結果だと思うんだけど。
 
 もしかして、私のヘミシンク体験は特異なのか?
 こっちの体験の方が、一般的なのか?

 私の知覚が一般的なレベルまで落ちたって事か?)

そんな中、あるヘミシンカーさんのブログに辿り着きます。

(アレ?この人メッセージが送信できなかった人だ。
 FC2とアメブロって相性悪いのかな〜?

 あ、この人もガイドと会えなくなっている。
 ふーん、ヘミシンクのCDも聴けなくなっちゃっているんだ。
 
 淡々としているなぁ。
 私だけじゃないんだ、なんか、ホッとしたな。

 またコメント送れないと嫌だから、「S」ってHNで投稿しちゃおうっと。
 あ、うまくコメント送れた。

 ちょっと久しぶりだな、この人。
 後で過去記事読みに行こうっと。

 さて、この人とリンク張っている人達の記事を読みに行きますか。)

コメント欄に書き込みしている人たちのブログを読みに行きます。

(一日へミシンカーのブログを読み漁ってきて、ここら辺が一番いい感じだな。
 仲間意識が強いから、ちょっとコメント書き込みしにくいけど。
 一番ガチでヘミシンクに取り組んでいる感じ。

 う〜ん、なんか武闘派っての?バトル系っての?
 ちょっとそこらへんは、アレだけど。
 一番心に響く感じ。
 でも、やっぱり唐突に変なコメント送れないし。

 やはり、まずはミクシィで仲間を探しつつ、ブログでも同じ事書いている人を探すか〜。)

そうして一晩たつとムンクさんからお勧めへミシンカーさんのリストが送信されました。
マイミク申請するとイイヨって書いてあります。

メカ音痴の私は必死になって、そのリストのへミシンカーさん達にメッセージを送信します。
マイミク申請の仕方をイマイチ理解していなかった為、ただのメッセージを送信しただけなのですが…。

そして、ムンクさんが大阪で雲黒斎さんとコラボ・トークライブをすると知ります。

(ミカエルさん達と会えないのは、私の知覚が落ちているからかもしれない。
 あれ以降、他のガイドとも会えないし。
 
 大阪かぁ、ちょっと遠いけど、逆にいいかも?
 名古屋だと地元だし、顔見知りに会う可能性があるけど、大阪ならよっぽどいいよね?

 初心者向けのセミナーみたいだし、ちょうどいい機会だから参加してみよう。)

そうして、セミナーの申込をしつつ、情報収集をしていた私でしたが、数日たつとまた体に異変が起きてきます。


私は再び、魔王の住む宮殿に向ったのでした。



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