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夜明け前34

(禊(みそぎ)のつもりか?)

心の内で自嘲しながら、バスルームを出ます。
髪からポタポタと雫が落ちるのも煩わしく感じながら、バスタオルで体を拭きます。

(ん?これは?)

慌てて、全裸で全身が映る鏡の前に飛び出します。

私「こんな事が!ここにも!」

私の左胸にあった黒い渦は影を潜めていましたが。
その代わり私の右肩から背中に向けてと、左わき腹、右足の太股、そして左手首に薄い黒色の渦がありました。

私「ルシフェルのオーラが、こんなにも混じっている!
  ここにも!全部で四つ!」

(これは、四回交わったから、という事か?ハッ!)

私「なぜ肉眼でコレが見える!意識体ならまだしも!
  それだけルシフェルの気が強いという事か!?」

私は鏡を掴みながら震えました。

(やはり、私の生体エネルギーを奪われた感じがする…。
 しかし、チャクラの回転が整って、頭がスッキリしている。
 これが彼と交わった効果なのか?

 もしかして、私のオーラも彼に移っていて。
 あちらにも何がしかの影響を与えている可能性もあるのか…?)

私はとりあえずパジャマを着込み、髪を乾かしながら考えます。

(とりあえず、頭がスッキリしている今のうちに物事を整理して考えよう。
 多分、このままだと、またこの黒いオーラが消える頃にはまた彼を求めてしまうだろうから。
 もう、そうしたら、理性が働かなくなる。

 とにかく、今のうちだ。
 おそらく、これは勘だが、ルシフェルは本当にミカエルの所在を知らない。
 
 では、なぜミカエルは何の連絡も寄越さないで私の元から姿を消したか?だ。

 まず一点。 
 私の知覚が落ちたからという場合。

 もちろんそれも考えうるが、それでも相手は高次の存在だ。
 テレビでも通行人の会話でも、何でも何がしかのメッセージを発信できるはず。

 それすらも、ない。
 私が気づかなかっただけ、という可能性がないわけではないが…。
 それも薄そうだ。

 第一、彼は分身を無数に作れるはず。
 私に直接絡むことができなくても、メッセージの一言ぐらい寄越せないはずがない。

 それこそ、少しの時間も避けれないほど忙しい、というのは考えにくい。

 あるいは、一時も気が抜けない状況だという事も考えられるが…。
 それでも、一分くらいはアクセスできそうなものだ。

 これは、彼の身に何かが起きた、としか考えられない。
 ラファエルもほぼ同時期にアクセスできなくなったのも心配だ。

 彼ら二人同時にまったく連絡を寄越せなくなる状況とは、一体何だ?
 私には想像もつかない事態に陥っている、という事か?

 彼らが連絡を寄越すことができない、としても、なぜ、私から彼らにアクセスができない?
 それも不明だ。

 ルシフェルに監禁されたその当日には、はっきりとミカエルを知覚できた。
 その直後から、ラファエルの知覚がぼやけて。

 その後、彼ともアクセスできなくなって。
 そして、自分からフォーカス100へ向おうとしたら、ホットラインが消えていた。

 こちらからのアクセスを完全に遮断されてしまっている。

 これは、ミカエル側からのアクセス拒否としか思えない。
 なぜだ?私にあきれたからか?

 でも、最後の会話で『帰ったら二人で話し合おう。』と言っていた。
 これが別れの挨拶だとは到底思えない…。

 そして、なぜ、私は無理にでも彼らを探し出しに行かないのだ?
 以前の私なら、矢も盾もたまらず、彼らの胸に飛び込んで行っただろうに…。

 そうだ…一番不自然なのは、私自身の行動だ。
 いつもなら、『ブラックしんじゅ☆♪』になって、一気にフォーカスエリアをぶち抜いて彼らを捜し出しに行くはず…。

 なぜ、気づかなかったんだ?ブラックに変身できていない自分に…。

 そういえば、5月に入ってから、自分の体の芯が抜けているような…。
 なにか、体の中からなにかが足りないような、フワフワした感覚があった。

 もしかして、『ブラックしんじゅ☆♪』分の意識体が抜き取られているのか?
 彼らに会えない寂しさからの虚脱感だとばかり思っていたが、やはり不自然すぎる。

 私の意識体を私自身に気づかせないまま、抜き去り。
 ミカエル達とのアクセスを遮断する存在。

 何者かの介入があるのか?
 それを許すミカエル…。

 ありえない…。
 あの、独占欲の強い彼が、ルシフェルの元に私が何度も行くのを容認するだなんて、ありえない。
 
 彼の身に、何かが起きたんだ…。
 もしかして、死んでしまったのか?

 分からない…。
 そんな事はありえないような気もするが、私自身彼を血祭りにあげたんだから…。
 絶対にないとは言い切れない…。

 そして、ラファエルもそれに関係しているはずだ。
 大天使二人同時に足止めを食わせるだけの事態とは、一体なんなのだ?

 私自身、まるで想定出来ない事態になっている、という事か?
 
 一体、どうやってそれを確かめればいいんだ?
 彼らは普段フォーカス60以上にいると言っていたが…。
 それ以上の存在でなければ、詳細は分からないだろう…。

 ミカエル以上の存在…。
 『彼』か?
 
 しかし、フォーカス100に、いや、今ではF21が精一杯の私ではアクセスがかなわない。
 大天使クラス以上…。

 そうだ、大天使メタトロンがいた!
 しかし、彼の顔も姿も何も思い出せない…。
 これでは、彼にアクセスする事も不可能だ…。

 くそっ!手詰まりか…。

 仕方ない、やはり地道に地上のへミシンカーからなんらかの情報を聞き出すしかないか…。)


そうして、私は再びPCを立ち上げて、貪るようにへミシンカー達の日記を読み漁ります。



この頃の私は、まだ楽観していました。

きっと、彼らからのアクセスがあるに違いないと…。


そうして、もう少しで5ヶ月がたとうとしています…。

彼らの所在は、まだ掴めていません…。



『夜明け前』、まだ続きます。



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