Welcome to my homepage

夜明け前40

相変わらず、ルシフェルと別れてから数日たつと、また体が疼き始めます。

(くっ。ガマンだ…。一向にルシフェルの元へ出向く頻度が下がらない…。
 半日でも、数時間でも、1時間でも多く、合う頻度を下げなければ、ミイラとりがミイラになる…。)

そうして、なんとか自分の性欲を押さえ込もうとするのですが、結局しばらくすると、私は魔王の住む宮殿へと意識体を飛ばします。

背中には6枚の漆黒の翼。
腰の下まである、長い絹糸の様な漆黒のストレートヘアーをなびかせながら、砂漠の谷間にある宮殿へと向います。

宮殿を視認すると、拍手を打ち、意識をルシフェルの寝室へとフォーカスします。

ほの暗い、ルシフェルの寝室に私の意識体が降り立つと。

逆巻く髪の毛が舞い降りるやいなや、ルシフェルは私の体を掴んで、ベッドへ押し倒しました。

私「あ!何を!」

ル「いつまで待たせる!
  この私を焦らして。

  お前にとっての1時間は、こちらでは3時間だ!
  私を求めていながら、なぜすぐに来ない!」

私「乱暴はヤメテ!」

ル「騒ぐな。
  また『口撃』されては、敵わないからな。
  大人しくするんだ!」

私「あ…。」

そうして、彼はキスをしながら、乱暴に私の服を脱がし、私に覆いかぶさってきます。

私も彼を求めてやまないのに、やはりミカエルの兄、という後ろめたさから、つい、いつも彼の胸をつっぱるしぐさをします。

ルシフェルはそれを乱暴に外し、私を抱きます。

私「ルシフェル…。ミカエルがいいの…。」

ル「緑の姫君…。口ごたえはなしだ…。」

私「ルシフェル…。」

彼の腕に抱かれなら、私は快楽を味わいます。

(あぁ、やっぱり…。
 こうして、肌を重ねるごとに、彼に親しみが沸いてくる。

 異性としてではない…。
 まるで、肉親のように感じる。
 自分の兄か父と交わっているような錯覚…。

 ミカエルが自分の弟だと知りながら、求婚しておいて。
 そんな事、意識した事、今まで無かったのに…。

 ただただ、ミカエルは愛しい男性としか、認識していなかったのに…。

 ルシフェルには、肉親の情を感じる。
 これでは、近親相姦だ。

 そんな倒錯的な感覚が、より一層快感を募らせるというか…。
 あぁ…、彼はミカエルの兄なのに…。

 いけないと思いつつも、やめられない。
 気持ちいい…彼が愛しい…。

 …これでは情が移ってしまう…。

 いけない、彼に心を許してはダメ…。
 今の私には、彼の孤独を癒すことも、できないのだから…。)


ル「緑の姫君…。私の妻になれ…。」

私「ならない…。」

ル「私を愛していると言ってくれ…。」

私「愛してるわ、ルシフェル…。今だけ…。」


そうして、彼にとろけるような快楽を味あわされて、その後、体が離れます。


私「…キャッ!」

ル「まだ、ここに居ろ。」

彼が欲しくてたまらなかった欲望が満たされてた私は、頭もスッキリして、その場を離れようとしましたが。


彼が私の腕を掴んで自分の元へ引き寄せてきたので、少しだけそのままジッとしていました。

私は彼に背を向けて、腕枕をしてもらう格好で、大人しくしています。


彼の弾んだ息が収まってくるのを感じて、私はそろそろと体を離して、その場を立ち去ろうと試みましたが。

すぐに彼に腕をつかまれて、引き戻されます。
そうして、私の体を背後から抱きしめてきて、背中にキスをしてきます。
そのまま、彼に抱きしめられて、しばらくジッとしてましたが。

また、少しして、ベッドの端へと移動しようとすると。
再び、引き戻されて、背中や腕にキスをして、私を抱きしめてきます。
しかたなく、また大人しくしています。

そうして、また少しして、ベッドから離れようと体を動かし始めると。
彼はまた、私の体を、まるで護り刀を抱きしめるように、ギュッと掴んで離しません。

知らず、頬が熱を持ちます。

(………もうそろそろ、いいかしら…。)

背後から、寝息のようなものが聞こえてきて、そっと体を起こして、ベッドの端へ移動しようとすると。
それを察知した、彼が再び私の腕を掴んで、自分の胸元に引き寄せて、抱きしめてきます。

(………もう、限界!彼が愛しくて、愛しくて、たまらない!)

私は振り返ると彼の上に覆いかぶさり、彼にキスをします。
そのまま、彼の耳元でねだります。

私「ルシフェル!お願い!もう一度!」

ル「っ!お前の方からっ!?」

そう言うやいなや、彼は激しくキスをして、一瞬で二人の体勢は交代し、私は彼に抱かれます。

私「ルシフェル!ルシフェル!」

ル「緑の姫君!」

私「ルシフェル!愛してるわ!愛してる…。」

ル「あぁ、緑の姫君…。私の事を…。」

彼への愛しさと快楽で、涙が零れます。
見上げると、白銀のロングストレートヘアーに包まれた麗人の水色の瞳が滲んで見えます。

私「ん…はぁはぁ…。
  あぁ…愛してるわ、ラファエル…。

  あぁ…青い…水…。」

私の脳裏に青色の水面の光を反射した揺らめきの映像が浮かびます。
四角く、切り取られた、青い絵のような、水面の映像…。
その周りは、漆黒です。

ル「っ!」

私「…くっ。
  くくくっ!
  あははははははっ!!
  おかしい!おかしいぞ!?ルシフェル!?

  さじ加減を誤ったな、ルシフェル。
  針が私まで振り切れたぞ?

  お前、はなから、私を地獄の女王に据える気はないな。
  すでに冥府の女王は誕生した。
  今度こそ、ハデスはうまくやったようだ…。

  二人も女王はいらないだろう?
  両雄、並びたたずって奴だ。

  それに、今度の女王は若くて頑健だ。
  しかも聡明で、疑い深い。

  くくく。
  私を女王に据える気ならば、あんな生ぬるい事をしないだろうしな。
  あちらに比べれば、甘いものだ。

  お前、この娘を本気で愛したんだろう?
  愚鈍だが、勘が鋭い。
  正直だけがとりえで、お人よしのこの娘に本気になった…。

  悪魔王、ルシフェルが人間の娘にね…。
  いいのか?ここで、こんなにルーシュを使って…。

  さぁ、茶番につきあってやったんだ。
  早くリミッターを解除しろ。

  私の力を分散して、封印してあるだろう?
  いい具合にこの器が育ってきている。

  もっと力をよこせ。
  でないと、ミカエルを探せない。

  何の為に、この星に来たと思っている?」

ルシフェルは一瞬体を固くして、私を見下ろしていましたが。
ふっと柔和な微笑みを浮かべました。

ル「…悪かったよ。」

すると、ルシフェルは私の顔に、手の平をかざして、そこから薄い緑色の光をあてて。

ル「油断したようだ…。」

私「ルシフェル、お前!」

ル「さぁ、休むがいい…。」

私は『青い水』発言からの、この一部始終をすっかり忘却してしまいます。


(ハッ!
 ルシフェルとラファエルを言い間違えたっ!
 最低だっ!
 怒られるっ!)

私「ごめんなさいっ!」

そう思って、私が肩をすくませていると。

ルシフェルはジッと私を見つめて。

ル「気にしていない。」

とだけ、言いました。

私 「え…?」

(怒らない?え?
 それに、さっきルシフェルの瞳の色が水色に見えて…。
 アレ?マスカット・グリーンだ…。)

ルシフェルは無表情のまま、私の髪の毛を一房つかみ、口づけをして、片手で弄んだかと思うと。

ル「…これではどちらが転がされているのか、分からないな…。」

私「っ!」

(やっぱり、怒ってる!?
 そうだよね!Hの最中に名前を言い間違えたら、誰だって怒るよね!?)

私は頬が赤くなるのが分かり、思わず、彼の視線を避けて、背中を向けます。

すると、ルシフェルはベッドから降り、ガウンを羽織り室内を移動します。

背後で物音がすると思って、私が振り返ると、豪華な装飾が施された銀杯にワインが注がれていました。
ベッドサイドのテーブルには、よく見ると金属製の籠があり、その上にふんだんに果物が飾られています。

私はそのおいしそうな果物盛を見るともなく、眺めていると、ルシフェルが銀杯に口をつけているところでした。

ル「お前も飲むか?」

私「………。」

ル「フーッ。お前が心配するようなことにはならない。
  安心しろ。」

私がジトーッとルシフェルを見つめると、彼は私の心の内を読んで、諦めたように言い放ちました。

私が薄いシーツを体に巻いて、テーブルに寄ってイスに腰掛けると、ルシフェルは自分が口をつけていた銀杯を勧めてきました。

ツンっとワイン独特の芳醇な香りが鼻をつきます。
私はおそるおそる、一口、口をつけると、今まで口にしたこともない、豊かな味わいがします。
おそらく、極上のビンテージワインなのでしょう。

私「悪いけど、お酒の味はよく分からないわ。
  一口で、十分よ。
  それより、果物を食べてもいい?」

ル「あぁ。」

私は果物盛を引き寄せて、果物に手をつけます。
ザクロの実とか、オレンジとかメロンとか。
ナイフも無いので、ちょっと手づかみでは食べにくそうな果物ばかりです。

そこで、私はブドウを掴み、その実をもぎって口へ運びました。

口の中でブドウの薄皮が弾けて、新鮮でみずみずしい果実の味がします。

私「うまっ!何これ!種無し、皮付きで食べれるじゃん!
  いいモン、食ってんな!
  個室の入院患者のお見舞いかってぐらい、おいしいブドウだ、こりゃ。ムギュムギュ。」

ル「…。」

私がおいしそうにブドウを食べているのを見て、ルシフェルは私からブドウをそっと奪い。
その実を一つ、自分の手でもぎって、私の口へと運びました。

パク。ムグムグ。

ル「…!」

ルシフェルは瞳を輝かせて、もう一つブドウの実を私の口元へと運びます。

パク。ムグムグ。

彼の指に、ブドウの果汁がついていて、それを私の唇にそっと擦り付けます。

ペロ。

ル「…!ちょっと、待っていろ。」

ルシフェルは微笑みを浮かべて、私に急いで言うと、ドアの奥へと消えていきました。

(…ルシフェル、今、笑った…。)

私は裸体にシーツを纏ったまま、ベッドへと戻り、バフーッっと、そこへ突っ伏すように、なだれ込みます。

(ルシフェル、笑った顔…。
 笑った顔…。
 か、かわいいっ!)

心臓が激しく脈打ちます。
顔が熱を持って、赤くなります。

(ルシフェル、よく考えたら当たり前だけどっ!
 ミカエルさんと同じ顔だから、すごい美形だしっ!

 うわ〜!うわ〜!あんな顔して、笑うんだっ!
 すごいかわいい!

 ずっと鉄面皮だったから。
 なんかびっくりしたっていうか…。

 って、何コレ?なんで、心臓バクバク言ってんの!
 アレ?なんで顔が赤いの?
  
 えぇ〜?まさかまさか、私ルシフェルの事…?
 落ち着け、自分!
 治まれ、鼓動!

 いやいやいや、こんなのは、アレだ。
 ほら、なんて〜の?
 普段不良な少年が、めずらしく真面目に掃除当番なんかしちゃったりしたら、妙に好感度が上がるってのと同じ寸法よ!
 だまされちゃダメだ。
 普段から真面目に掃除しているのが本当なんだからっ!
 不良だと思っていた人が、アレ?以外にいい奴?的なノリの戦略にハマっちゃ、ダメダメ!

 って、あぁ〜?いつの間に、ローカル1の性格に戻ってんの、自分。
 ここはアンダーグラウンドだってば!

 いくらなんでも、漫画脳のアタシでは対処できないってば!
 いつから、これ、ラブコメになってんの!?

 って、あぁ!もしかして、もしかしたら!?

 この間、酒とか、果物とか、お茶菓子でも用意しとけって言っといたから、それを準備していたって事?
 まさか、まさか、毎日毎日、新鮮な果物を用意して、いそいそと私を待ちわびていたって事?

 そうだよ、今までこんな果物盛、無かったよ!
 ヒンヤリ冷たくておいしい、新鮮な果物。
 
 私が来る直前まで、冷やしてなきゃ、こんなにおいしくないよ!
 ローカル1とここでは、時間の流れが3倍くらい違うみたいだし。

 私が上でルシフェルに会いたいと思っていた時から、ずっと彼は待ってたんだよ!

 なんか、それって、いじらしい?
 いやいやいや、落ち着け、相手は1000歳を超える、悪魔だぞ?
 
 私を騙すのが目的かもだぞ?

 …それにしても、彼も、随分、人間味が増してきたな。
 そして、その反面、私が明晰さを得た感じだ。

 これは、やはり二人のキャラクターが混じってきている、という事か?
 これは、もしかしたら、一つの統合なのでは?)

すると、ガチャリ、と音を立てて、ルシフェルが戻ってきました。
彼の右手には、光輝くものが握られていました。

それは大きな真っ赤な宝石をダイヤが取り巻いているデザインの、これまたチェーンに該当する部分が全てダイヤであしらわれている、豪奢なネックレスでした。

ちょうど、スミソニアン博物館にある、『ホープダイアモンド』のルビー版、といった感じです。

それを見た途端、すっと、私の意識が替わります。
 
私「アラアラ、素敵なネックレスね。
  もしかして、それ、プレゼントかしら?」

ル「…そうだが。」

私「まぁ、素敵。目の保養ね。
  そんなもの、受け取ったら、二度とここには来ないけれど、いいかしら?」

ル「…フーッ。」

ルシフェルは小さくため息をついて、カチャリ、とテーブルの上にネックレスを置きました。

私「ふふ。
  宝石なんかで、私の気を引けるとでも思った?
  私が欲しいのは、ミカエルだけ。
  あなたはその代用品どまりよ。
  
  どんな豪華なプレゼントも無意味ね。
  残念ながら、私の瞳はガラス玉同然ね。
  惚れた男以外は興味がないのよ。

  まぁ、でも、楽しかったわ。
  用も済んだし、失礼するわね。」

私はローブを身にまとい、背中に6枚の漆黒の翼を出現させます。

ル「また、来い。待ってる。」

私「ふふ。それじゃ、あなたの愛人になってあげるわ。
  それ以上は望まないことね。
  じゃね。」

私は手を振り、一気に宮殿の外へ瞬間移動し。
そして、ローカル1へと戻りました。



自宅のベッドに戻った私はクッションをバフバフ叩きます。


私「何コレ何コレ!
  これじゃ、私、ルシフェルと恋愛してるみたいじゃない!
  しっかりしろ!自分。

  って、あぁ〜!あの豪華なネックレスも。
  『女はキラキラしたものが大好きだ』とか言ったのを真に受けたのね!
  
  あれって、ホストクラブのシャンデリアのつもりだったのに〜!

  って、あぁ〜!余計、ルシフェルがいじましく感じちゃうっ!
  落ち着け自分。静まれ鼓動って、なんかのセリフだったっけ?」


  すーはーすーはー。

(はぁ、ちょっと落ち着いた。

 そうだ、なんか妙だったな。
 うん、なぜかルシフェルの瞳が水色に見えて。
 思わず、ラファエルって言ってしまったんだけど。

 普通、あのシュチエーションなら怒るよね?

 以前ミカエルとラファエルを言い間違えた時。

 ミカエルは顔を真っ赤にして、「最低だ!」と言って怒っていたし。
 ラファエルは顔面蒼白になって、無言で部屋を出て行ったよ。

 なぜ、ルシフェルは怒らなかったんだ?
 
 それに、話の脈絡が妙じゃなかったか?
 ん???

 なんだろう…、これに集中して考える気力が沸かない…。)


私「………そうだ、冷凍庫にピザがあったな。
  アレ食べよう。

  もう、いい年した大人なんだから、1ホールじゃなくて、半分にしよう。

  …むぐむぐ。ご馳走様でした。」


(さて、やっぱり、ルシフェルの態度、腑に落ちないな…。)
  
 ………やっぱり、ピザの残りを食べよう。
  ココアもつけちゃうぞ!)


私「…むぐむぐ。ご馳走様でした。」


(う〜ん、名前を言い間違えて怒らない理由って、何があるんだろう…。

 ………そうだ、冷凍庫にアイスがあった。あれ食べよう。)

私「…むぐむぐ。奮発してハーゲンダッツを買っといたんだ〜。
  抹茶が好きなんだよね〜。ご馳走様。」


(さて、と。さっきの続きだけど。
 私に対して執着が無いのかな?それにしてはプレゼント作戦とか…。

 ………ポテトチップスが食べたい。そうだ!コンビニに買いに行こう!

 王道のコンソメか塩か迷ったけど、ダブルコンソメで決まりだね!)


私「っと、ただいま〜!ハーブティーも淹れちゃうゾ!

  …ムグムグ。ご馳走様でした。」
  

(さて、と。
 ルシフェルの態度、ひっかかるなぁ〜。

 ………そうだ、プリン。なんだか、無性にプリンが食べたくなったゾ!
 さぁ、財布を掴んで、コンビニへGO!)


私「って、できるかぁぁ〜!
  三食食べてて、その上おやつで腹はタポタポだっての!
  これ以上、食えるかぁ〜!
  誰だ!私の心理操作してる奴は!」

私は小銭入れを床に叩きつけて叫びます。


私「おかしい!明らかにおかしいぞ!
  なんか、ルシフェルの言動を考えようとすると、おかしなことになる。
  その上、なんか記憶を消されたっぽい!

  これ以上誤魔化されない為に、声に出して考えるぞ!
  こんな事、以前もあったぞ。
  
  たしか、高校生の時だ。
  そう、あの時は、予知夢の逆を…。
  予知夢の逆をって、…アレ?なんだっけ?

  ふわぁ〜、無性に眠たくなってきた。

  ほわぁ〜、布団が恋人〜。

  毛布フワフワのモコモコだぁ〜。

  おやしゅみなしゃ〜い。グゥグゥ、スピー!」


気づけば、電気をつけたまま、しばらくの間うたた寝していたのでした。
   
私「しまった!また誤魔化されたぞ?
  これは核心に近づいているのか?

  そうだ、ルシフェルの態度。
  名前を言い間違えたのに、怒らなかったのは、一体何故だ…。

  って、眠いにゃあ〜。
  う〜ん、オヤスミ〜。

  ミカエルさ〜ん、会いたいよぅ〜。

  ぐぅぐぅ。すぴー…。」

気づけば、またうたた寝をしていたのでした。

私「なんだ?なんかマズイのか?
  仕方ない、こうなったら、ルシフェルさんの態度が妙だった、という事だけ覚えておいて。
  インターネットでもしよう。」

ノート型パソコンを起動して、受信トレイを開きます。

(彼女から、何かメッセージがあるといいのだけれど…)

受信メッセージはありませんでした。

ネットサーフィンをしながら、悩みを打ち明けた子からの返信を待ちわびます。

(どうしよう…。
 催促のメッセージを送るのも、なんだしな。

 でも、あれから随分日にちがたつ。
 
 こうなったら、非物質的に直接会いに行くか。)
 
私はパソコンに向き合い、彼女のミクシィのページを開き。
彼女の波動を感じ取ります。

(ラファエルさんが言っていた。
 ブログを通じて、私の元に、性的なエネルギーが集まってきているって。

 それなら、その逆もできるはずだ。
 集中しろ、私にはできる、できる、できる。)

パソコンの前で拍手を打ちます。

パンッ!

私「コンセントレーション!」

電気回線に意識をのせて、相手の様子を探ります。

(…よし、彼女の波動をキャッチした!)

彼女は、私の事を嫌っていない。
今はアウトプットに時間がかかる状態である。
そして、今は自分の内面に向かいあっていて、それどころではない、と察知するのですが。

彼女のガイドと思しき存在にアクセスを強制的にシャットダウンさせられます。


(ウワッ!強制終了だ!
 話には聞いていたけど、これが彼女のガイドか?

 眩しい!
 こちらから不法に侵入したんだから、追い払われるのも当然といえば、当然だか…。
 しかし…。)

私には、その存在が銀色の光を放つ、若い男性だと認識しますが。
(容姿はさっぱりわかりませんが、なぜかそう感じます。)


(なんだ?
 フォーカス60〜100にいそうな圧倒的な存在感。

 それでいて、陰の、もっといえば、闇の属性の性質を持つ。
 そして、あきらかに人間ではなく、かといって、天使でもないような…。

 これほどの高次の存在が、なぜローカル1の人間にここまで干渉できるんだ?
 一体、彼は何者なんだ?)


そんな印象を持ちますが。


私「はにゃ〜。もう、眠い〜。
  おかしぃなぁ、さっきまで惰眠を貪っていたはずなのに、なんか、細かい事考えられない〜。
  おやすみにゃさ〜い。グゥグゥ、スピー…。」


翌日、目が覚めた時には、その印象までもつるっとまるっと忘れてしまっていたのでした。



▲pagetop