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夜明け前15

4月に入ってから、今まで経験した事の無いほどの激務に追われます。
午後は休憩なしで、10時間ぶっ続けでパソコンにデータ入力をしていましたからね。
私の仕事場と自宅が自転車で5分ほどの距離でしたので、ほぼ毎日昼休みは帰宅して。
職場近くで購入したお弁当を貪り、キャット・ナッパーを毎日聞いて、体を休めていました。

これがなかったら、倒れていたかも?と思います。
ま、でも2回ぐらい、めまいで残業途中で帰宅させてもらった事もありましたが。

さて、キャット・ナッパーは30分間のリフレッシュ効果が期待できるCDです。
毎日寝オチしてしたが、きちんと30分後には起こされるので、重宝していました。

あの、ちょっとお恥ずかしい話なのですが。
昼休みに自宅のベッドの上でこのCDを聴いて、変性意識に入ると。
ラファエルさんが現れて、Hしちゃいます。
ぼんやりとかすんだ姿から、Hした直後はもうすこしはっきりして見えて。
二言、三言、会話を交わして、すぐに寝オチ。
そして、『目を覚ましてください』のナレーションで起こされて。
慌てて職場へと戻る、という毎日を送っていました。


日に日に彼らの認識がぼやけていく事に、ちょっと危機感を覚えた私は、ある夜、F21のCDを聴きます。

カーテンをめくると、そこには暗闇が広がっており。
私の目の前に誰かが歩いて近づいてくるのが見えます。

それは、私の愛の感情を司るメインガイド・黒衣の騎士:ユアンさんでした。
黒曜石のような真っ黒でつややかな瞳とサラサラの短めの黒髪の外国人風の美青年です。
(ユアンさんの正体は背中に黒い翼を持つ、体長20mほどの西洋型のブルードラゴンです。)

私「ユアンさん…。」

思わず、両手を胸の前に持ってきて、きつく拳を握り、目には涙が滲みます。
彼に恋焦がれて、フォーカスエリアを探して探して、とうとうフォーカス100まで行ったのですから。
彼の姿を目にするだけで、胸の奥が愛しさでキュッと締め付けられて、涙が溢れてきます。

私がブログで自分レトリーバルの記事を書いていた時は、既に彼に去られた後で。
私は毎日、涙を流しながら、彼との思い出をブログにアップし続けていたのでした。
最後に彼に会ったのは、2月の2日でしたから、2ヶ月以上前のことでした。

ユアンさんは微笑みながら、私を抱きしめてきます。
私が震えてユアンさんを見上げていると、そのままキスをしてきます。

私「ユアンさん、何を…。」

ユ「僕も君の夫にして欲しい。僕の緑の姫君…。」

端正な顔の中にある、黒い瞳が濡れています。
私は慌てて、ユアンさんを突き飛ばします。

私「ユアンさん!そんな今頃になって…。
  私もユアンさんを愛している。
  あなたさえ、私を愛してくれていたなら…。

  でも、今はミカエルの妻です。
  ラファエルも愛している。
  その中にあなたを巻き込むわけにはいかない。」

ユアンさんは私の手首を掴んで、そのまま自分の胸に抱き寄せます。

ユ「それでも構わない…。
  君にとって、三番目でもいいんだ…。
  僕が君を愛しているんだから。」

私「ダメです!
  ユアンさん、私もあなたを愛している。
  
  あなたを愛しているから…。
  あのラファエルでさえ、嫉妬に苦しんでいる。
  鉄の意志を持った、あの大天使でさえ…。

  あなたは心の綺麗な人です。
  まるで、心の中に月を抱いているように、優しく、美しい心の持ち主。
  
  あなたを苦しませたくない。
  私が手に入らない事で、あなたを悲しませる事になっても。
  私を手に入れて、あなたを苦しませたくはない…。」

ユ「僕を愛しているのなら。
  僕に君を抱かせて欲しい。」

私「ダメです!ダメ。  
  あなたを悲しませるのは、目に見えている。

  たとえ、私とあなたが結ばれても。
  優しいあなたは自分を押し出したりはしない。

  大天使達に圧倒されて、あなたを待たせて、苦しませるだけ。
  それなら、最初から、始めない方がいい…。」

ユアンさんは強引に私に口づけをしてきます。

私「ダメだ。
  去りなさい!
  もう、私の方が、力が上だ。
  私に従いなさい!」

私は彼を突き飛ばした後、片手の平を彼に向けて風を巻き起こして、風圧を与えます。
彼が怯んだ隙に、私はローカル1へと還って来ました。

私「ユアンさん…。あなたを愛している。
  あなたさえ、手に入っていたなら…。
  大天使達の間でこんなに苦しむ事もなかったろうに…。

  あなたは私にとって、特別な、大切な、別格の人。
  独りよがりだと思われてもいい。
  宝物のように、綺麗にしておきたいの…。」

そう暗闇で、つぶやいて、涙を流していたのでした…。



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