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夜明け前17

4月に入って、厳しい残業続きの生活が続きます。
4月の11日には、すっかり彼らの姿を知覚することができなくなっていました。

それでも、昼休みに自宅へ帰宅して、キャット・ナッパーを聴いている時に。
ラファエルさんが現れて、Hをすると、少しだけ彼らのぼんやりした輪郭が見て取れます。
その輪郭も日に日にぼやけていき、どんどん声も聞き取れなくなります。

それで、不安に思った私は、フォーカス21のフリーフローを取り出して聴いてみると。

最愛のメインガイド:ユアンさんが現れ、自分を夫にして欲しい、と言われます。
私は、3人もの男性を平等に愛する自信がなかった為、彼の申し出を断ります。

それでも、私はユアンさんを愛していましたから。
再び、彼が目の前に現れた時に拒める自信がなくて、結局F21のCDを聴く事も無く、日々が過ぎていきます。
天使達の知覚がおぼろげなのはこれは仕事が忙しいのが原因で、来月にはぐっと楽になるから。
それから、じっくりヘミシンクにとりかかればいいだろう…。
そんな風に考えていたのです。

それでも、私は彼らが私を『緑の姫君』と呼ぶ謎が解けて、とても嬉しく思っていました。

私の名づけ親は産院の先生です。
私が生まれた当時の総理大臣の娘さんが、その秘書をしており。
国会中継を見ていた父親がこの名前がいい、と言った所、その先生が、同じ漢字ではつまらないだろうから
この文字を使うといい、と言って名づけられた経緯があります。

この名前が『緑の姫君』という意味になっていたのです。
生まれた時からの繋がりを感じて、私は有頂天になっていました。

そうして、忙しい中、毎日のブログ更新に私はウキウキしていたのです。

すると、ある日の記事で、私がラファエルさんの膝の上に飛び乗るというお話があり。

「ラファエルのお膝は、アタシの特等席なの!」と私は無意識に言っています。
天使ライフ5

パソコンのモニターを覗きながら、私自身、なぜ、こんな事を言っているんだろう…と不思議に思っていたのですが。

ふいに過去、自分が母親にミカエルに求婚されたが、実はラファエルのお嫁さんになりたかった、と言っている記憶が蘇ります。
少女時代15

(そうか!あの時、母親に『らぁえる(注:ラファエル。子供の口ではラファエルと発音できなかった為)さんのお膝は、しんじゅ☆♪ちゃんの特等席なのね!』と言われたからなのか!
 それにしても、ミカエル、当時4歳の私に求婚するだなんて、青田買い過ぎる!
 嬉しい〜!!
 婚約の証にカサブランカの花束を渡すなんて、ロマンチックね!
 くすくす。)

私は自分の事務机に向いながら、思わず笑みがこぼれます。

(…それにしてもお母さん、私の事をジャンヌ・ダルクってよく気づいたよな…。
 すごい博学だな…。何気にスゴイ?

 それともピンポイントでその知識が深かったのか…。
 お母さんが高校時代に読んだ本のタイトルってなんだっけ…。
 思い出せないな…。
 それにしても、結局お母さんと同じ高校に通ったんだから、それも運命的っていうか。

 うーん、何がキーワードだったんだろう…。

 トリコロール、ミカエル、白百合の花束、約束の乙女…。
 『分かった!ラ・ピュセルね!』と言っていたし。
 ラ・ピュセルがキーワードだな…。

 どんな意味だろう…。
 確か、フランス語で、乙女って意味だったと思うけれど…。

 うーん、20年前にクラスで回し読みした、秋里和国さんの漫画のタイトルが確か。
 「ボンクラージュ・乙女(ラ・ピュセル)」だったよな…。
 うん、やっぱり、乙女って意味だ。

 アレ?あの漫画、確か、ジャンヌ・ダルクの生まれ変わりの女子高生が主人公で。
 王太子の生まれ変わりのノーブルな雰囲気の男子高校生と恋に落ちて…。
 ヒロインの側にいるミカエルがそれを阻止しようとして、反対に男子高校生の側にルシフェルがいて、主人公達を煽っていて…。
 ラストは意外な決着で。
 クラスメイト達は、女は愛に生きるから、これでいーんじゃない?って言ってたけど。
 私は、これでは勝っても負けても、ミカエルは救われない。
 可哀相だな…、って思った覚えがあるな。

 うーん、まるで、私の精神世界の登場人物、そのままの設定じゃん。
 あの本、レンタル屋にあるかな?
 最新作の『蛇蝎』も面白いよね…。
 『THE.B.B.B』(ザ・ばっくれ・バークレー・ボーイ)のラストも衝撃的だったよな〜。
 実は、ラファエルさんの胸に飛び込んだのも、あの本の影響があるんだよね〜。)

そんな事を思い出してニヤついて、仕事をしていると、上司が昼休みに中華料理屋に連れて行ってくれました。
初めて入るお店で、一緒に入った同僚と上司はそれぞれ、新聞や雑誌を手にとり、会話を楽しむでもなく、各自読みふけります。
私も店内の漫画本のコーナーに行くと、まさしく、『ボンクラージュ・乙女』全4巻がありました。

(うぉ〜!すごいシンクロ。やっぱり思ったとおりだ。
 この展開かぁ〜。高校生の時は興奮して読んだけれど。
 一回読んだお話だからかな?そんなに興奮しないな。
 あれから20年後、まさかヘミシンクでこの漫画の通りの体験をするだなんて、夢にも思わなかったな〜。)

チャーハンセットを頼みつつ、全4巻を読破して、職場に戻ります。

(そうだ、今日、家についたら、『ラ・ピュセル』の意味をインターネットで検索かけてみようっと!
 何か面白い情報が出るかも?
 うふふ。ミカエルさんったら!ほんとに青田買いなんだからっ!もうっ!)

私は浮かれて、帰宅し、お風呂に入り、パジャマ姿で、PCの前に座ります。

『ラ・ピュセル』で検索をかけると、一発で『ジャンヌ・ダルク』がヒットします。

(あ、いきなり、ジャンヌ・ダルクがヒットした…。
 へぇ、元々は未婚女性とか、メイド、乙女、処女って意味なんだけれど。
 フランスでは、ジャンヌ・ダルクの異称だとして、有名なのね…。

 それで、お母さん、『ラ・ピュセル』でいきなり、分かったって訳ね…。
 でも、やっぱりお母さん凄いわ…。

 そういえば、私、過去生がジャンヌ・ダルクらしいけれど。
 ジャンヌ・ダルクってどういう人生だったんだろう。
 なぜか、記憶に無いのよね〜。
 歴史で習っているはずなんだけれど、おかしいな…。

 せっかくだから、この記事を読んでみますか…。何々〜?)










ブツッ、バチャン!!

私は無言で、いきなりノートパソコンの主電源を落とし、乱暴に蓋をとじます。
普段なら、スタートボタンを押して、手順を踏んで電源を切断するのに関わらずです。
その足で、部屋の照明を落とします。

バチン!

真っ暗な室内で、涙を流します。
唇をきつくかみ締めながら、乱暴に照明のスイッチを押します。

(ミカエル、よくも私を見殺しにしたな!!お前を殺す!)

私はベッドに体を横たえます。
胸の中は彼への殺意で渦巻き、憎しみを滾らせています。

(ミカエル!よくも私を抱いたな!

 私を見殺しにして…。
 私が苦しんで、死ぬと分かっていながら!

 あの牢獄の中で、どれほどの男達に辱めを受けたか…。
 死ぬまでの間だけじゃない!
 死した後まであのような辱めを…!
 何も覚えていない、私をよくも…。)

ギリリ、ギチ、ギチ。
私は歯軋りをして、空を睨み、涙を流し続けます。

胸の中はミカエルへの殺意が渦巻き、憎しみが全身を包みます。

暗闇のなか、何か温かい空気の塊がフワリと私に近づきます。

私「寄るなぁ!私に触れれば、殺す!」

私は上体を起こし、少し明るい空気の塊に怒気をぶつけます。
空気中に青白い閃光がパリパリと走り、空気の塊を押しのけます。

私は再び、ベッドに仰向けになり、涙を流しながら、シーツカバーを両手で力一杯握り締めます。
…昨日まで、愛を睦みあっていた、ベットシーツを今夜は殺意に胸を焦がしながら握り締めます。

私「ミカエル、殺す、殺す、殺す!
  お前を許すものか!よくも私を見殺しにしてくれたな!」

…私はどうしようもなく怒り続けていました。
確たる記憶が戻ったわけではありません。

ただ、牢獄での暮らし、そして処刑されるまでの日々の感情だけが蘇ったのです。

かすかに、ゲラゲラと笑いながら、「コレが聖女か?ただの糞袋だ!」
そう、男達に罵倒され、乱暴されつづけた記憶が戻ってきたのです。

私は最愛のミカエルに強い殺意を抱き、呪いの言葉を吐き続けます。
もう、理性など微塵も残ってはいませんでした。

私のチャクラがボウボウと乱れて高速回転し、暗闇の中奇妙に発光し、頭の中はぐちゃぐちゃでした。

僅かに残っていた理性がこう、考えました。

今まで、彼らをしっかり、知覚できなくなった理由とは…。
もしかしたら、この事実に気づいた瞬間、彼を抹殺しない為だったのではないかと…。

私は暗闇の中、発狂しそうな心理状態で、一人涙を流し続けました。
眠る事など、とうていかないそうもない…。

そんな事を微かに思いながら、最愛の天使を呪い続けていたのです。



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