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夜明け前21

仕事を終え、帰宅します。
昼休みにヒーリングをした関係でしょうか?
昨夜はろくに眠れていないようでしたが、不思議と頭は回り、業務に支障はきたさないようでした。

お風呂を済ませ、ベッドに横になります。
すると、また不思議な空間に自分が浮かんでいます。
今度は青空ではなくて、ふんわりと優しい淡いオレンジ色の世界です。

目の前に数メートルの所に光り輝くような笑顔のミカエルがいます。

私は白銀の長い髪をたなびかせるようにして彼の元へと滑るように移動します。

私「…ミカエル…。
  ミカエル、ごめんなさい…。

  謝ってすむ問題じゃないけれど。
  謝らせてください。

  あなたにひどい事を…。
  あなたに会わせる顔がありません。
  ごめんなさい。」

彼の顔を見た途端、私は泣き出して、顔に手をあてながらお詫びをします。

ミ「君は、悪くないよ。
  君が怒るのも、当然だ…。」

私「いいえ。あれほどあなたを傷つける必要はなかった…。
  激情に駆られたとはいえ、私はあなたにふさわしくない。
  ごめんなさい…。」

ミカエルは私を抱き寄せて、頭を撫でます。

ミ「君を愛しているんだ。
  君も私を愛している。
  もう、自分を責めないで。」

私「いいえ。許されないわ。
  自分を許せない…。」

ミ「自分を責めないで…。
  私は大丈夫だったのだから…。

  君が本気を出していたら、私の命は無かった。
  君はギリギリのところで、自分を制御していたんだよ。

  ほら、大丈夫だから…。」

私「…許せないんです。自分が。
  あなたの方が、辛い役割だったのに。

  私にはできない。
  愛する相手が、苦しみ続けるのをただ見守るだけなんて。

  あなたの愛は深い。
  私には、それが分からなかった…。

  自分の浅はかさが許せないのです。
  あなたの愛を疑った、それが許せないのです…。」

ミ「君は私を癒してくれた。
  十分だからね。
  もう、自分を許してあげなさい。」

彼の腕から逃れようとして背中を向けた私をミカエルは背後から抱きしめて慰めてくれます。
私はミカエルに申し分けなくて、泣き続けていました。

ミ「泣かないで、私のラ・ピュセル。」

ミカエルはそう言うと、私を自分の正面に向わせて、キスをしてきます。

私「ごめんなさい、ミカエル…。
  ごめんなさい、ごめんなさい。」

ミ「謝らないで…。」

そのままミカエルは私に口づけを続け、いい雰囲気になってきます。

(ミカエル、こんな所で…。)

ミ「自分を許しなさい。」

私「許してくれるの?」

ミ「許すも何も、本当に君は私の話を聞いていないな。
  …オシオキだね。」

私「ミカエル…。」



彼が無事で。
彼が優しくて。
彼に許してもらえて、私はうっとりして。
そのまま彼と愛しあいました。



それは、今まで彼とのセックスでは感じたことがないほどのエクスタシーでした。


私「ミカエル…。
  あなたと抱き合って、こんなに気持ち良くなれるだなんて…。
  あきらめていたの。
  あなたとは、無理だろうって…。

  どうして今までくすぐったいとしか感じなかったんだろう…。
  今まで、こんな素敵な事をしてくれていたのね。
  セックスって素敵な事だったのね…。
  
  ミカエル、愛してる…。」

私は涙を流し続けます。


恍惚。

全てが溶け合う。
全てが。

私は目の前のミカエルを愛していたと思っていましたが。

ミカエルは私でした。
ミカエルは私であり。
ミカエルは全てでした。
そして私もまた全てで。
全て。
自分というのは、全て。
全てが一つ。

なぜ、忘れていたんだろう。

なぜ、このことを忘れて生きていたんだろう。

全てだ。自分は全てだったんだ。

愛。愛という波間にうかぶ一滴の水。
それが自分で、全て愛。

皆、自分が愛だという事を忘れて、生きてる。

皆、本当は愛の中にいるのに、自分の殻に閉じこもって。
自分で作った闇の中に住んでいて、寂しがっている。

あぁ、幸せだ。

全てが一つなのだから。

今、寂しがっている、他の自分達に伝えたい。

こんなに、許されていて。
こんなに、愛されていて。
こんなに、満たされている。

なぜ、忘れていたんだろう…。


私「ミカエル…。
  気持ちいい…。
  思い出した…。」

彼は笑うと、私に口づけをしてきます。
私の胸から黄金の光が放たれ、意識体がメタモルフォースします。

瞬間、脳裏に広がるビジョン。

私は、子供で。
私は、大人で。
私は、鳥で
私は、緑で。
私は、水で。
私は、大地で。
私は、空気で。

あぁ、様々な時代の、様々な人生を送っている。
瞬間、瞬間で、地球上に住む、私と同じ、マトリクスを持つ人物の生活にフォーカスされ。
ビュンビュンと意識が飛び回ります。
万華鏡のように、景色が移り変わります。

緑滴る山奥で、山の作物を収穫する、少女であり。
砂漠で、らくだを引き、行商する商人であり。
海で魚を採る、猟師であり。

脳裏に浮かぶ映像はドンドン時代を遡っていくようです。

圧倒的な情報量に、脳が処理に追いつかなくなります。

ホワイト・アウト。

気づくと、1億5000万年前に遡り。

私は異星で小さな白い生命体になっています。

まるで雪見大福のような丸っこいボディに南天の実の様な瞳。
背中には蝉の羽根のような、筋が透けてみえる半透明の翼があり。

川辺の上空をつがいの生命体と仲良さげにくるくると飛び交っています。


私「あぁ、ミカエルと私だ。
  こんな昔から、一緒だったんだ。
  ここから、もうツイン・ソウルだったんだ…。」

そして、時が過ぎ。
5万年前に水星を経て、地球へとやって来ます。

そうして、また時が過ぎ。

今、私達は天使と人間として再び出会います。

私「ミカエル、愛している。
  私のツイン・ソウル…。

  あなたの本当の名前を教えて…。」

ミ「○○○○…。」

私の髪はゆるくウェーブをして足元まで伸び。
その色は淡い藤色とも、茜色ともつかぬ、ピンク色で。

その瞳はオレンジともピンク色ともつかぬ色相をしており。
砂時計の砂が落ちるように、瞳の中でその色が揺らめいていました。

その瞳はまるで、パパラチア・サファイア(蓮の花の色のサファイアの事)の様で…。


ミ「君は綺麗だ、緑の姫君…。」


気持ちがいい…。
絶対的な安心感と、安全感。
愛されているという確信。
全てに満たされていて、全てが寿がれている。


私「ミカエル、愛してる…。」


私は涙を流しながら、その言葉をうわ言のように繰り返し。

とろけるような恍惚感と共に、私の意識体は輝きを放ち続け。
私達は深く愛し合ったのでした。



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